クリーニング屋さんになんとか服を預け、(春夏秋冬全部の服を持っていったのでびっくりされた)外で待っていた陽日先生に声をかける。
「陽日先生、お待たせしました」
「おー、じゃあなんか食って帰るか!」
「え、おごってくれるんですか」
「おお!500円までならな!」
「………………………」
「仕方ないだろー!金ないんだよ!」
仕方ないのでクレープをおごってもらいました。チョコバナナクリーム美味いぜ。
「陽日先生、それなんですか」
「オレのはレアチーズストロベリー」
先生チョイスが女子高生だよ。でもいいなあ、美味しそう。
「先生それ一口くださいよ」
「ええ!やだよ」
「なんでさケチ」
「嫌なもんは嫌だ」
「ちぇっ先生のチビ!」
「誰がチビだ!」
陽日先生はケチだなちくしょう。今度ひっそり身長縮む呪いを掛けてやる。そう策略しながら、クリームの中に紛れたバナナをかじる。
すると不意に、陽日先生がボソリと呟いた。
「だめなんだ………なんて、そんなもの」
「?陽日先生?どうしたんですか」
「あっ?い、いや、なんでもない。ほら、朝野、さっさと食って学校戻るぞ!」
「はーいはいはい」
「あれ、陽日先生と咲月ちゃん」
「よお、水嶋」
「こんにちは」
学園に戻ると、水嶋先生が暇そうにぶらついていた。
「水嶋先生暇なんですか」
「いや、図書館で本読んでたんだよ」
「ふーん」
そうなんですか、と呟くと、水嶋先生は怪しげににやりと微笑んだ。
「なに、咲月ちゃん。陽日先生より僕とデートしたかった?」
「ばっか水嶋!!これはデートじゃなくてだな!」
「はいはいわかってますよ」
「うぎー!」
単純な陽日先生は、デート、という単語に反応して顔を真っ赤にしながら否定する。それをいつものように流す水嶋先生。ああ楽しそうだなあ。相変わらずサドっ気溢れてるなあ。
不意に、水嶋先生が私の唇に人差し指を当てた。なにごと。
「?なんですか、水嶋先生」
水嶋先生は、人差し指で私の唇を撫でると、自分の唇に押し当てた。にっこりと笑う。
「間接キス」
「………………………」
この人本当脳内ピンクだよな。
「おまえええええええ何してんだああああああ!」と叫ぶ陽日先生を、いい笑顔で再び弄りはじめる水嶋先生。
これ以上どう反応すればいいかわからなかったので、寮に帰ることにした。水嶋先生のセクハラはいつものことなので寝て忘れることにした。
「じゃ、陽日先生ありがとうございました」
「おー!気をつけて帰れよー」
「気をつけるってか目と鼻の先ですけどね」
「うるさいぞ水嶋」
戯れ合う先生たちに背を向けて、寮に向かった。
「月子ちゃんも鈍感だけど、咲月ちゃんも相当だな…」
「あ?何の話だ?」
「陽日先生には関係ありませんよ」
「な・ん・だ・とーーー!」
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