「一樹くん、他人の本を興味本意で読んではいけませんよ」

「す、すみません…じゃなくて!!!お、おま、な、な、な、こ、こ…!!」

何を言っているのかさっぱりわかりませんが何を言いたいのかはわかりました。
私は腹をくくって、説明することにしました。







「…………」

説明したら黙られちゃいました。なんとか言いなさいよ。

「…………」

「…………」

「常葉、お前……」

「はい」

「…変態…なのか…?」

「…………」

間違ってないけど改めて言われるとなんかムカつきますね。

「ま、そうですね」

「そ、そうか…」

頷くと、一樹くんはなんだか放心したような顔で呟きました。

「口外しないでくださいよ」

「ああ」

よし、これで隠し通せますね。完璧に隠すことは無理だと思ってたので、1人ぐらいバレても大丈夫でしょう。

「…すみませんね、こんな厄介な奴が来ちゃって」

「いや、まあ、個性があっていいんじゃないか…」

あら優しい。
さすが天下の生徒会長。器のでかさも天下一品です。

「さて、上着もあったことだし、行くか」

「はい」

よっこらしょ、と2人で腰をあげたとき、ドアからノック音がしました。

「はーい?」

返事をすると「失礼します」という声と共に2人の男性が入ってきました。背の高い人と赤毛のみつあみです。ああ、この人たちはほっし…金久保誉と諏訪部さ……白銀桜士郎じゃないですか。

「おー、来たな」

一樹くんがまるで自室のように彼らを迎え入れます。私は早々に2人に、自己紹介をしました。

「初めまして、雲居常葉です」

「初めまして、僕は金久保誉。よろしくね、雲居さん」

「俺は白銀桜士郎よん!よろしく〜」

「常葉でいいですよ」

あと敬語は癖なので気にしないでください、と言うと誉くんはふんわりと笑って頷きました。

「で、どうして2人はここに…?」

「俺が呼んだ」

あなたか。

「どうせなら大人数で学園案内した方が楽しいだろ?」

「すみません付き合わせて」

「いいよ、楽しそうだしね」

「そうそう!なんてったって2人目の女子だしね〜くひひっ!色々聞かせてもらうよ〜」

「はあ…」

ああなんていい人たちなんだろう。今まで画面越しに彼らを見てきましたがやっぱり優しいんですね。

「じゃあ行きましょうか」

「ああ」

「うん、行こうか」

「くひひっ!…っと常葉、上着のポケットからなんか落ち…た……」

「桜士郎?」

「桜士郎くん?」

どうしたんですか、と振り向くと、桜士郎くんの手には昨年の冬コミで入手した、某BLゲーのブロマイドが握られていました。しかもがっつりやらかしているイラストです。あー、しくったわー。

「…………」

「…………」

「…………」

今日はやけに冷えますね。





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