食堂は、やはりゲームのグラフィックと全く同じでした。
幼馴染みも案の定東月錫也と七海哉太で、声もあの有名声優でした。私今超幸せです。

「すみません、なんだかお邪魔してしまって」

山羊座定食を食べながら謝ると、テーブルを挟んだ向かい側の小野D…じゃなくて東月くんは「いえいえ」と柔らかい笑みを浮かべてくれました。それに対して杉田…じゃなくて七海くんは、若干不貞腐れたような態度で、自身が注文した魚座定食をもさもさ咀嚼していました。彼はゲーム内でもこのような感じだったので、私は特に気分を害することもなく、むしろ愛しい気持ちでいっぱいです。

「美味しいですね」

「デザートも美味しいですよ!」

月子ちゃんの言葉に頷く。知ってるんですけどね。
不意に、東月くんが聞いてきました。

「雲居先輩は、どうしてこんな時期にここへ?」

「ああ、両親が急に転勤になったので、知り合いである理事長さんに一時期引き取って頂くことになったんです」

…と、いうことになっています。私の中では。実際はよくわかってませんが、まあ大丈夫でしょう。私の両親だし。

「へー、大変だな」

あ、七海くんが初めて口を利いてくれました。少し嬉しい。

「…ん?」

ふと周りの人が、私を盗み見ながらひそひそ声で話しているのに気付きました。疑問に思い、そっと音に耳をそばだてると、

「あれ、誰?」

「さあ?知らん」

「女子?」

「スカート履いてるし、女子だろ」

などと言う会話が聞こえてきました。なんでそんな注目されているのかと思ったら、私は今前の制服を着ていたんでした。そりゃ悪目立ちするわけです。

「常葉先輩は、何科に入るんですか?」

定食を食べ終えた月子ちゃんが、興味深げに聞いてきました。
東月くんも七海くんも、一応興味があるのか、私を見ています。

私は、琥春さんから事前に言い渡されていた学科名を言いました。

「西洋占星術科です」

「へえー!じゃあ金久保部長と同じですね」

「占いできるんすか?」

「あー、まー、ちょいちょい」

どうして西洋占星術科なのかは私にもわかりません。まあタロットくらいならできるし、ちょうどよかったかも。

「今度、占ってください!」

月子ちゃんの言葉に、私は曖昧に頷くことしかできませんでした。



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