高2の終わり頃。
その日、私は寄り道をしたんです。友達と一緒に池袋のアニメイトに向かい、たくさんのアニメグッズを鑑賞したあと、そのままK-BOOKSに行って有り金の8割を同人誌に費やしました。

ああ、言い忘れてましたが私は腐女子なのです。腐女子というのは……まあ版権の陰に生きる者です。詳しくは調べてください。

話を戻しましょう。
乙女ロードやサンシャインシティで存分に楽しんだ私と友達は、そろそろお開きということで駅にて解散しました。私はJR、友達は地下鉄なのです。
山手線に乗り、久しぶりに同人誌を買い込んだ私は実に満足感に満ちていました。また座れたこともあってか、私はいつの間にかうたた寝してしまったのです。








『次は、――駅、――駅』

「…ん?」

電車のアナウンスに起こされ顔をあげると、車内には私以外誰も居りません。この時間なら帰宅するサラリーマンやら学生やらで溢れているはずなのに。況してや、山手線です。終点などありません。何故、人一人居ないのでしょう。
そして何より、

「次、何駅…?」

先程、アナウンスは何駅と報じたのでしょうか。覚醒していなかったので聞き逃してしまいました。扉の上についている電子掲示板には何も表示されていないので、少し不安です。もう一度、アナウンスは流れないのでしょうか。
外は真っ暗なので全く景色がわからないし、携帯はなぜか圏外。これじゃあTwitterが開けません。私は一抹の不安を覚えました。

「(ここどこなんですかねー)」

もしかして都市伝説の如月駅でしょうか。それはそれで面白そうです。

次第に電車の速度がゆっくりになって、駅に到着しました。駅名は××駅。聞いたことがありません。検索してみようかと携帯を開きましたが未だ圏外です。全く、使えない携帯ですね。

「さむ…」

電車を降りて、改札を通過すると(何故か降りれました)雪が降っているのがわかりました。ここは一体どこなんだ。東京はこの先1週間晴れだと今朝お天気キャスターのお姉さんが言ってたんですが。

「…………」

さてどうしたもんか。
同人誌で膨らんだカバンには、すっかり痩せ細った財布と音楽プレイヤーと携帯、筆記用具しかありません。

「うーん?」

困ったなあ、と途方にくれていると、突然肩を叩かれました。

「ねえ、」




home
「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -