さて新学期!始まりました新学期!
この春休み、周りの目を一切気にすることなく出歩き、道行く男子生徒に驚かれたり話しかけられたりしていた私だったので、教室に入ってもノーリアクションでした。むしろ1年からこの学園にいたんじゃないかというくらい馴染んでました。おはよう諸君。

「おっ、はよーす常葉」

「おはよー」

「おはようございます」

早歩きで自分の席に座り、今日提出する課題や書類やらを机の上に置く。よしよし、ちゃんと全部あるぞ。提出物はきちんと出すのが私のモットー!まあ、当然のことなのですが。

チャイムが鳴り、教師が来て私のことを大まかに説明してくれました。知っている人も知らない人もこんにちは雲居常葉です。












今日は始業式だけなので午前で終わってしまいました。一樹くんは明日の入学式の準備、誉くんは部活、桜士郎くんは謎の失踪、ということで暇をもて余した私は図書館にでも行こうかと鞄片手にうろうろしていました。暇だな。

「ねえ、君が3年に編入してきた子?」

突然声を掛けられました。ナンパですか。それにしてはいい声ですね、まるで新撰組を題材にした某乙女ゲームの原田さんみたいな声です。
そう思いながら振り向くと、そこには妙な襟のスーツを着たもじゃ眼鏡が立っていました。

「(おお、意外と大きいですね水嶋郁)」

ぼんやりと見上げていると、水嶋郁はほんの少し口角をあげ、私の顎に手を添えました。

「ねえ、君がそうなんでしょ?」

しつこいですね。見りゃわかんだろが。

「そうですよ」

「あ、やっとしゃべった」

「放してください。急所蹴りますよ」

「…………」

片足をあげると水嶋郁は不快そうな顔で手を引きました。

「君、なんて名前?僕は水嶋郁」

「雲居常葉です。それじゃ失礼します水嶋さん」

「えっちょっ、ちょっと待ってよ」

モテ男にこのような女子の反応は予想外だったのかなんなのか、水嶋さんは踵を返した私の腕を慌てて掴みました。なんだよこいつ。私はホモにしか興味ないんだよ。

「ね、保健室教えてくれない?」

「は?なんで私が。水嶋さんOBなんだから保健室の場所くらい知ってるでしょう」

「…………君、なんで僕がここのOBだって知ってるの?」

「(あ、やべ)」

まさか「アニメ見て知ったからです」とか言えるわけがない。仕方ない、ここは適当なことを言っておこう。

「簡単なことですよ、この学園に初めて来た人はわずか2名しか居ない女子の内の1人にわざわざ話しかけて、保健室の場所聞くわけないじゃないですか」

普通はそこらへんにいる男子取っ捕まえて聞きますよ、と言うと水嶋さんは一瞬唖然としていました。そしてすぐに我に返ると、

「常葉ちゃん。君、面白いね」

とても満足そうな笑みを浮かべて、去っていきました。なんだあれは。まるで台風ですね。

そんなことより遊佐ボイスで名前呼ばれました。感激です。着ボイス新たにダウンロードし直さなくて済みそうです。





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