星を毒殺
地下の射撃場からアジトに戻ると、待ってましたと言わんばかりに不知火先輩に見つかって捕らえられた。ちなみに一緒に射撃練習していた水嶋のヤロウには逃げられた。助けを求めたのに。
仕方ないのでついてこいという不知火先輩についてゆく。まあどうせ暇だし、いいか。ちなみに今日の射撃練習めっちゃ調子よかったから私機嫌いいよ!ふふん!
「ふふんふふーん、ドーはドーナツのドー、レーはレミントンのレー、ミーは水嶋のクソヤロウのミー、ファーはファーファーファファファーのファー!」
「うるさいぞ満」
「なんだとぅ前髪ハゲ!」
「誰が前髪ハゲだコラ!」
若干気にしているのかサイドを少し手で押さえる不知火ハゲ。
「ところで先輩、もうたいぶ長いこと歩いてますけどどこいくんです?」
そうなのだ。不知火先輩に捕獲されてついてこいとか言われてやや反抗しながらついてきたのはいいが、割と長い距離を歩かされて私は歩くという行為に飽きてきていた。せーんぱぁーい!まだですかー!てかどこ向かってんだよー!
「ここだ」
「ほ?」
案内されたのは翼の実験室の隣の部屋だった。あり?こんな部屋あったんだ。全然気付かなかったよ。
「…………あ」
不知火先輩はその部屋のドアを開けようとして、何かを思い出してやめた。「先輩?」と訝しげに聞くと、先輩は不意にハンカチを取り出して、ドアノブの上にそれをかぶせてドアを開けたのだった。
「おい、入るぞ」
ずかずかとその部屋に入っていく不知火先輩の後を慌てて追って入る。そしてその部屋の汚さに私はなんとなくデジャヴを覚えた。
「勝手に入んなって言ってんだ……誰その子」
部屋の奥から誰か来た。ツナギを着て、首からゴーグルを下げた男の人。毒々しげな色にドクロマークのラベルが貼ってあるビンを片手に持っていた。明らかに毒薬。そんなあからさまにしなくてもと思ったがなんとなく黙っておいた。
「邪魔して悪いな。こいつが今日からお前の弟子になるElektraだ」
「Elektra?」
「弟子!?」
ちょっ、聞いてませんよハゲ!と不知火先輩を振り仰ぐと、先輩はああすまんすまん今決めた、と全然すまなさそうにけろりと言い放った。マジで一回死ねやハゲ。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
やっべえめっちゃ見られてる!なんか品定めされてるようで満さん怖い。ただでさえ年上の男の人はあまり好きくないのに。ううう、
「どうだ、Hamal?」
「ふむ」
Hamalというのかこの人は。なんか、誰かに似てるなあこの人。うーん、誰だったかなあ?……………………、
「あ!」
「「?」」
「おう……」
思い出せて思わず声をあげてしまった。2人同時に見られてちょっとビビる私。
「なんだよ、Elektra」
「いえ、あの、Hamalさんて笑ちゃ…じゃなくてSadalsuudに似てますね」
かつてこのZodiacの先陣を切って任務を行っていた少女。敵組織FMSに寝返って今はもう居ない、少女。
「…………」
「…………」
「…………」
空気がしんみりした感じになってしまった。誰だよこんな空気にしたの!私だ。
Hamalは再び私を見定めるようにすると、ふむとひとつ頷いて、
「気に入った!Aries、俺はコイツを弟子にする」
「え!?マジ!?」
「本当ですかHamalさんっ」
おう、と頷くHamalさんに私はほっと息を吐いた。どうやら気に入られたようだ。
「そうか、じゃあ後は頼んだぞHamal」
「ああ」
前髪ハゲはじゃあ、と言ってHamalさんの部屋を出ていった。ぽつんと残される私とHamalさん。
「あの」
「ん?」
「Hamalさんのお名前聞いていいですか?」
「……………………Hamalだけど」
何言ってんだコイツって顔で見られた。いやそうじゃなくて!
「コードネームじゃなくて」
「ああ、啓太だ」
「ありがとうございます!私コードネームって嫌いなんで、」
けいちゃんって呼んでもいいですかね?と尋ねると、けいちゃんはそれはそれは嬉しそうに笑って頷いてくれた。
星を毒殺
◎ついに!啓太くん!出せた!嬉しい!
なんだかキャラ捏造ですねすみません!みーちゃん啓太くんお借りしましたっ
あ、水嶋さんはなんか話術とか解読担当っぽいけど銃も使えたら素敵だよねってなわけで勝手に射撃練習させちゃいました