さあ踊ろうか
ボスに急遽呼び出された。呼び出されたのは私だけじゃなくて、錫也と哉太、龍之介くんに颯斗くん。つまり羊を除いた同い年メンバーってやつだ。で、用は何ですか。
「本日、Tears of the Polestarに関連する宝石を盗むことは知ってるな?」
「ああ、まあ」
「お前もっと緊張感持てよ…」
「黙れ3分」
「んだとコラァ」
ギリギリと足を踏み合う私と哉太に他のメンバーが溜め息を吐いた。ボスが眠そうに続ける。
「本当はスムーズに奪える予定だったんだが、厄介なことになりそうなんだ」
「厄介?」
ボスの言葉に私たちは動きを止め、他3人が顔をしかめた。厄介…ってのは邪魔が入るってことかしら。
「……Libra、もう少し詳しくお願いします」
それだけではいまいちわかりません、と龍之介くんが言って、私たちも頷く。ボスはどこか面倒臭そうに、そして本当に厄介なことを告げた。
「FMSも同じものを狙っているらしい」
「えふえむえす…」
あっれえ聞いたことあるなと思ったら私の所属組織だった。うっかり。今はZodiacにスパイしてるからZodiacの構成員みたいになってるけどね。…しかし参ったな、そいつは予想外だ。
「奴らより先に盗らなきゃいけませんね」
「ああ……失敗は許されないな」
ぐっと拳を握る颯斗くんと龍之介くんを横目に、私はボスに話しかける。
「で、今回の陽動部隊は」
「ああ。AlcyoneとPiscesで頼む」
「うす」
「了解」
「ScorpioとVirgoは例の物を盗み出せ。邪魔な奴らは殺して構わない。Cancerはいつも通り後方支援と援助を頼んだぞ」
「む、わかりました」
「了解しました」
「任せてください」
そうして、私たちは任務を遂行すべく、アジトを出たのだった。
「(んでよりによってあの子らか…)」
現場に駆けつけると、すでにFMSが派手に暴れていた。緑と茶色のコンビが楽しそうに敵を打ち倒していく。隣で哉太が愉快そうに口笛を吹いた。
「俺も早く暴れてえ…!」
「3分しかもたないんだから、慎重にしなさいよ」
ギロリと睨むと、哉太はわかってるよと言わんばかりに強気に微笑む。ったくこのバカは…。……ま、いざとなったら後方の錫也が援助してくれるだろうし、ここは手を抜いてやるか。何よりFMSのメンバーは大事な仲間たちだから怪我させたくないしね。
「いいか、Alcyone、俺はあの緑と茶色を相手にするから、お前はあっちの女を相手にしろよ」
「(女?)」
そんな人どこに、と思って哉太の視線を追うと、居た。現場から少し離れた小高い丘で、黒髪の少女が何やら爆弾っぽいものとガスマスクを手に待機している。……あれは、若菜ちゃんじゃないか。私がZodiac加入後にFMSに加わったと詩ちゃんから報告が来ていた気がする。
「よっし、行くぜ、Alcyone!」
「はいはい」
「2人とも、無理はするなよ!」
錫也オカンの声に私たちは適当に返事をして、一斉に駆け出した。うーん、仕方ない。仲間といえど、若菜ちゃんには少々痛い目に遭ってもらうとしますかね。
私は腰のポーチから数枚のチャクラムを取り出すと、若菜ちゃんに向けてぶん投げた。それに気付いて、慌てたようにチャクラムを撃ち落とす若菜ちゃん。あら、意外とやるわね。
ちらと後方を確認。…錫也が後方支援のタイミングをはかるためにこちらをしっかりと見据えている。ううむ、こっそりと彼女を逃がそうと思ってたけど無理そうだ。
「(……あまり気乗りしないけど、ここはやるしかなさそうだ)」
茂みから飛び出して、素早く振り向いた彼女と相対する。ねえねえ!Charon!
「それ、毒ガス?」
さあ踊ろうか
とやつさん宅の若菜ちゃんをお借りしました!イヤッフウッ!
とやつさんが書いてくださったコラボの咲月視点となっております
ちょっと絡みが少ないのでもう一回コラボするかもry
とやつさんありがとうございましたー!