星屑のパレード
レミントンM700を構える。
よーし落ち着け満、大丈夫大丈夫、私ならできる。狙いを定めて…3、2、1…!
「うわあっ!?」
パアンッ!と弾が爆ぜる。が、しかしターゲットには当たらなかったようだ。チッ、惜しい。
「ちょっと、何するのよElektraさんっ」
ターゲット…否、りんたろーくんが文句を言う。どうでもいいけどなんでおネエ言葉なの!
「んー、なんか、気分」
「そ、そうですか」
パンパンパァンッ!と迷わず連射。しかしりんたろーくんは綺麗に交わす。うう、さすが。
「ひどいよAcrabくん!!」
「あなたのほうがひどいよ!!」
そう言ってりんたろーくんは私に向かってナイフを投擲。ひええ危ないよ!当たったら痛いよ!というわけでロックオーン!
「あっ撃ち落とされた」
「撃ち落としたぜ!」
新米と言えど銃の腕は確かなんだからね!誰も言ってくれないから自分で言うよ!ちょっと寂しいよ!
「あらやだかわいそう」
「かわいそうとか言わないのー!」
もうやだりんたろーくん意地悪だ!もう一発連射ああああ…あ、あれ…、弾がでない。カチッカチッ、とむなしく響く引き金。ま、まさか、
「たっ弾切れだああああああああ!!?」
いやんどうしよう!りんたろーくんにバレないようにしなきゃ…!
「なになにー?Elektraさん弾切れ?」
バレた。
「ちちちちがうよ!嫌だなAcrabくん冗談はやめてよねっ!」
「でもカチカチ言ってるよ」
「いいいいってないよー!」
「じゃ、チャンスだね」
「うええええええ」
りんたろーくんはニヤリと笑うと、一気に私との間合いを詰めてきた。懐から素早くナイフを取り出して、振りかぶる。鈍色に光るナイフにぞくりと背筋が震えた。
「ほっ」
「ひっ!!?」
咄嗟にレミントンでガード。ガリッと音がした。あ、これは少し削られたな。
レミントンをそのまま投げつけてりんたろーくんの不意をうち、太もものホルスターからシグP228を取り出して撃つ。
「くっ…!!」
弾は偶然にもりんたろーくんの腕を撃ち抜いた。りんたろーくんは痛さに顔を歪めて笑う。
「痛いよ、Elektraさん」
「ふへへ、めんご!」
偶然だけどね。私狙撃銃は得意だけど拳銃は苦手なんだ。
「でもね、俺も負けるわけにはいかないんだ」
「えっ」
「ごめんね、Elektraさん」
りんたろーくんは困ったように笑うと、だらだらと血が流れる右腕を押さえてどこからか取り出したボウガンを、私に向けた。
「(やっ、ばい…っ!!)」
避けなきゃ、と思ったときにはもう遅かった。ザクッ、という音と、痛みが走る左もも。見ると、矢が刺さっていた。どろりと流れる私の血。い、痛いっ…!
「っのお…!」
痛みを堪えて左の太ももから刺さってる矢を引き抜き、シグを構える。りんたろーくんも素早くボウガンを構えて、
「Acrabっ!」
「やめろ、Elektra!」
「「えっ」」
突然の介入に、私とりんたろーくんは驚いて身を竦める。そのせいで二人とも軌道を外し、全く異なる方向に放たれる矢と弾。
「Acrab、撤退するよ!お兄ちゃんが待ってる」
「Sheratanが?」
「やめろ、Elektra。撤退だ」
「えええー!でも、まだ、」
「いいから行くぞ!つーかお前その足で歩けるのか!?」
「むり。Aries、おんぶー」
「だあああもう!このおてんば娘はー!!!」
私の介入者は、不知火先輩だった。対して向こうの介入者は綺麗な女の子。いいなありんたろーくん!あんな綺麗なお姉さんが上司だなんて羨ましいぜ!
「俺じゃ不満か」
「8割くらい不満です」
「ほとんどじゃねーか!」
不知火先輩におぶられながら、後ろを振り返る。同じタイミングで、りんたろーくんもこちらを見ていた。
「またね、Acrabくーん!」
身を乗り出して手を振ったら、りんたろーくんはニコリと笑って小さく振り返してくれた。
「暴れるな、満!」
「はいはいすみません」
ごめんなさいね、と不知火先輩に呟きつつ、私は次に会った時はどう戦おうかと策略で、頭がいっぱいだった。
星屑のパレード
「おいAcrab」
「なんすか」
「お前Spicaに手当てしてもらったそうだな」
「ええ、この通りです」
「貸せ。俺がやり直してやんよ」
「お断りします」
「Acrabこの野郎」
「お兄ちゃんやめて!Acrabは戦ってきたばっかりなんだから!」
「ごめんなさい」
◎Y子さん三上くんお借りしましたたたたた!とても楽しかった…!三上くん愛してる