水瓶座と昴宿六





何も、視えない。
いや、見えない。目隠しされているのか。道理で真っ暗なわけだ。というかここはどこ?私は…Elektra、の満。只今敵の監獄、なう。

「あああああ…」

ややややっちまったぜえ…!!捕まっちゃったよ!あーあ、こりゃ給料減るなあ。

「いや、問題はそこじゃないだろ」

セルフツッコミ。いつも突っ込んでくれる哉太先輩や羊先輩が居ないから仕方なく、だ。仕方なく、ね?

「いやだから、ね?とかじゃなくてさ…」

わたし、なにやってんだろう…。今まで散々阿呆だ馬鹿だと(アホ毛とかぱっつんとかに)罵られてきたけれど、強ち間違いでもないのかもしれない。…っじゃなくて!

「そういう場合じゃないっつーの!」

「うるせえぞお前!」

「ごめんなさいね!」

看守さんに怒られちまったよ。あーあ、しっかしどうするかなあー。
ふと自分の愛器がないことに気付いた。私のレミントンどこ。しかし目隠しをされているため何も見えない。ちくしょう、やってくれたな。

「……………」

何かされてないといいんだけど。ていうか私のレミントン触ったらハチノスにしてやるからなああああ!
と、強がってみるも、内心緊張していて手に汗は握ってるわ動悸息切れが止まらないわでちょっと色々大変なことになっていた。

「(……どうしよう、)」

どうしよう、どうしよう、どうしよう?どうすれば、いい?
何も見えないし、何も視えない。おい星詠みどうした!いつも要らんときばっかり浮かんでくるくせにこういうときは浮かばないんですね!

「(……こうなったら)」

なんとしてでも脱出するしか、ない。ぶっちゃけもう私なんか捕まった時点で見捨てられているかも知れないけれど。

「(まあ、そのときはそのときかな)」

そうだったら少し悲しいけれど、まあそれも運命だったってことでひとつ。見捨てられていたら、

「(組織の皆の前で自分の頭でも吹っ飛ばしてやろうか)」
















満が、捕まった。
しかもこのエリアでは弱小と思われていたチームに。

「あいつアホだろ…」

「…………」

満が捕まったという事実に、皆一様にして溜め息を吐いた。Libraはこれをどうするつもりなんだろう。まさか、

「Libra、まさか見捨てるつもりでは」

Ariesが僕の心情を代弁するかのようにLibraに聞いた。Libraはやれやれと困ったように目頭を押さえる。

「Libra?」

「実はな、もう救出に行かせている?」

「えっ?」

誰を?
咄嗟に周りを見渡す。1、2、3、4…研究所に居るはずのAquariusと、別任務で出掛けているOphiuchusを除いて11人…あれ、全員居るぞ?

「……Libra?」

「Aquariusが、自ら志願してな」

「………え?」

僕とAriesとVirgoの声が重なる。
まさか、あの、翼が?













暇だ。とりあえず目隠しは取れた。顔を床に擦り付けたりなんとかして取った。端から見れば無様だったろうけど、誰も見てないしまあいいか、と思って色々やったら取れました。一歩前進、やったね私。…しっかし、

「なんて簡素な檻…」

まあ、Zodiacも割と似たような構造な檻だけど。

「ひま」

マジで暇。退屈しのぎに縄脱けしてたら意外とあっさり取れちゃったし。さすが、このエリアで最弱のチームだ。バレるとまずいのでまた自分で自分を縛ったけどね。

「ひまひまひまひまひまひま」

「うるせえぞ!」

「暇だー!」

ドッカーン!!

「え」

私の声に合わせたSE効果かと思ったけど、違った。誰もいなかった、私から見て向かいの檻が、さっきの爆発のせいか、ぐにゃりと歪んでいるのがもうもうと立ち込める煙の間から見えた。

「な、なんだ!?」

慌ててその檻の様子を見ようとした看守さんが呻き声と共に、突然倒れる。あれれ、大丈夫?

「満ッ!!」

「おろろ」

聞きなれた声にぱっと顔をあげると、そこには泣きそうな顔で翼が立っていた。片手には翼お手製手榴弾。もう片方は手榴弾が入った袋。

「大丈夫か?どこも怪我してないか?」

看守の机に置いてある鍵で私の檻をこじ開けて、執拗に私を心配する翼。翼は優しいなあ。

「大丈夫だよ。だから泣かない泣かない!」

「うぬ……」

よしよし、と翼を撫でる。翼は不安そうな顔をしていたが、私の無事を確認すると安堵したように微笑んだ。

「おい、なんだ!今の音!?」

「監獄のほうから聞こえたぞ!」

バタバタと、敵の足音が聞こえてくる。私は、看守の横に立て掛けてあったレミントンを背負い、隠しポケットのシグP228を取り出す。

「接近戦は苦手なんだけどね…」

「ぬはっ大丈夫!俺の特製手榴弾で目眩ましするから、安心してぶち抜いていいぞ!」

あと、すぐに応援も来るはずだし!と笑う翼の言葉に私は少し安心した。よかった、見捨てられてなかった…!

「こっちだ!」

バタバタバタン!と乱暴に物音をたてる方向に舌打ちして、私は翼を見やった。

「行くよ、Aquarius!」

「ぬいぬいさー!」

翼特有の催涙弾入りの銃を構えて、私たちは迎撃体勢をとった。
















座と昴宿六
















◎翼も一応戦える設定だったらすごく嬉しい





「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -