ハニービターな予感





抱き締められた。誰に?

「…な…直獅…?」

名前を呼ぶと、直獅は一瞬だけきつく抱き締めて、突然ガバッと離れた。そして深呼吸してから、

「朔!」

「は、はい!」

「オレと、けっ、結婚してください!!!」

体育館から、音が消えた。
















突然の出来事に呆然としていた朔だったが、体育館に居る全員の注目を集めていることに気付くと、顔を真っ赤にさせて、

「わ、私で、よければ………」

と呟いた。
オレは今更湧いてきた羞恥心と嬉しさで顔が火照って、熱くて仕方なかった。

体育館は依然として静まり返っていたが、いち早く我に返った不知火が夜久のマイクを奪い取り、

『陽日先生、結婚おめでとうございます!!!』

「おっ、おめでとうございます!」

「おめでとうございます」

「おめでとなのだー!チビ先生!!」

不知火に続く生徒会の奴らの言葉に、他の生徒や職員も我に返り、口々に祝いの言葉を投げ掛けてくれた。

「なっおしー!幸せにしろよー!」

「直ちゃん先生結婚おめでとー!!」

「直獅センセやるなあ!」

「陽日先生男前ー!」

「おめでとーございまーす!」


わあっと沸く歓声に、オレと朔はぽかんと顔を見合わせてから、2人で同時に吹き出した。

『…あー、静まれお前ら!陽日先生、日暮先生に、理事長から話があります』

賑わっていた体育館が、不知火の声で静まる。ありがとな、と言って不知火からマイクを受け取った琥太郎センセは不敵に笑うと、

『あー…直獅いいか、朔を泣かせたらこの俺が承知しないからな。朔、結婚おめでとう』

「琥太郎センセ…」

「琥太先輩…」

幸せになれよ、と口パクで言った琥太郎センセに頷いて、オレは思いきって朔を抱き上げる。

「ひゃっ、ちょっな、直獅!?」

「いいからいいから!」

オレは息を整えると、腕のなかでおろおろしている朔に口付けをしたのだった。


















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