星の導き






「あっ」

久しぶりのフラッシュバック。言わずと知れた星詠みだ。こいつは本当にいつも突然だなあ、と思わず苦笑した。
で、今回脳裏に映ったのはと言うと…、

「りんたろーくん?」

屋上庭園のベンチに座って、ぼんやりと星を見上げるりんたろーくんの姿だった。ぱっと時計をみると18時28分。夏だからまだ空は明るく、星は出ていない。

「(てことは19時半以降かしら)」

とりあえず夕御飯食べよう、と寮を出たところで、

「あれっ、満?」

「崇嗣!」

幼馴染みの崇嗣と出会った。のでご飯に誘ってみた。崇嗣が二つ返事で頷いてくれたので、それじゃあ行こうか、と私たちは食堂へ向かうことにした。


刧刧


「あっ、」

「あ、月子先輩」

彼は未だに月子先輩を追いかけているようで、帰りがけに月子先輩たちの姿を見かけた瞬間凄まじい速さでそちらに行ってしまった。速いなー。私も先輩たちのところに行こうかな、と一歩踏み出したところで夕食前に見た星詠みを思い出し、

「…………」

戯れる崇嗣と哉太先輩を尻目に、私は屋上庭園へ向かった。



刧刧



満さんを夕飯に誘おうと職員寮に向かったのだが、彼女が神話科の和泉くんと食堂に向かうところを見かけてしまって、俺は食堂をスルーして屋上庭園に来てしまっていた。

「はあ」

おなかすいた。低く呻く空きっ腹を抑えて項垂れる。そして自分の行動を反省。

「(なんであのとき見送っちゃったんだろう…)」

まがりなりにも彼氏なのだから「満さんは俺のだ!」くらい言えればいいのに。

「(俺のばか…)」

あー、と言葉にならないこの気持ちを発散させたくて適当にぼやいた。あーあーあー。

「何してるのりんたろーくん」

「えっ!?」

聞き慣れた愛しい人の声にびっくりしてガバッと顔を上げると、そこには怪訝そうな顔をした満さんが立っていた。

「みっ、満さん…?な、なんでここに…」

誰にも見つからずにここに来たはずだったのに。誰かに見られてたのかな、と思いきや、

「違うよー、星詠み!」

「…………え」

そうだった。忘れていたけど満さんは星詠み科だった。俺には持ってないものを、彼女は持っているのだ。

「星詠みって人の居場所までわかるんだ…?」

「んー、そうみたいね」

まー、私もよくわからないんだけどね!うへへ、と陽気に笑う満さんを見て、俺はなんだか無性に抱きしめたくなった。

「ねえ満さん」

「ん?」

「そ、その…抱きしめてもいいかな?」

恐る恐る聞くと、満さんは一瞬だけきょとんとしたあと、にこにこ笑顔で「よしきた!」と自らの両腕を広げる。

「ありがと」

俺はすぐにベンチから立ち上がって、その小さな体を優しく、けれどしっかりと抱きしめた。

「あ、りんたろーくんお腹鳴ったー」

「き、聞かないで…」











付き合いたてとかどうですか

このあと倫太郎くんは錫也におにぎりをつくってもらうといいよ

ちなみに満はカレーしかつくれないよ





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