翡翠の妖精






この学園の理事長の妹であり俺の妹の友人である星月琥雪は、犬飼曰くSらしい。

「なんだ、Sって?サイズか」

「ちげえよバカ、お前本当に咲月の兄貴か?」

「まあ一応。で、Sってなに」

「咲月みたいな感じかな」

「…………ふーん?」

なんかあんまりよく理解できなかったけど、まあいいや。長い翡翠色の髪をたなびかせて歩く星月琥雪をぼんやりと一瞥したあと、俺は犬飼に借りたジャージを片手に体育館に向かった。



刧刧



「朝野」

鈴を転がしたような声に呼ばれて、振り返る。あれ誰もいない。

「どこ見てるのよ」

「あ、」

少し視線を下ろすと、居た。翡翠の妖精…否、星月琥雪だ。

「俺に何か用か」

「ええ。あなた、確か保健係よね?星座科だけ今日期限の書類が出ていないのだけれど」

「…………」

あれっ俺はいつ保健係になったと言うのか。俺は水泳部に所属しているが保健係に就任した覚えはない。その保健係はもしかして、

「俺じゃなくて、浅野じゃないか?」

「………あなた朝野でしょう?」

何を言っているの?と言わんばかりの目で見られた。あー、ええっとそうじゃなくて、

「俺は朝昼晩、の『朝』の朝野。保健係は、遠浅の『浅』の浅野じゃないか?」

「…………」

「…………」

「……ややこしいのよ」

いやいやいやいや。間違えたのあなたですからね星月琥雪さん。俺何も悪いことしてないからね。

「あ、じゃあさ」

「なに…?」

「俺のこと、朝野じゃなくて暁月って呼べば」

「どうして?」

「そしたら間違えないんじゃねーの?」

どうよ?と聞くと、星月琥雪はしばし長考したあと、

「そうね」

と頷いた。

「じゃあ暁月、私のことも名前で呼びなさい」

「うーい」

それじゃあ、と言って琥雪は踵を返して去っていった。理事長といい琥雪といい星月家は綺麗な顔立ちの家系だよなあ、それに比べて朝野家は…と嘆いていたら、

「おうおう!そこで何してんだいにーちゃん!」

「あっツッキーじゃーん」

「うわうるさいの来た」

騒がしい妹と、その親友がやってきてしまった。あーあ、こいつも琥雪くらい大人しければいいのになあ。

「何よ」

「べっつにー」











琥雪ちゃんには郁がいるから暁月とくっつくこたぁないな

+に変えておこう

最後のは神話科コンビ


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