そうして君と出会った






そもそも私たちはどうやって出会ったのか。そこらへんのことはよく覚えていないのである。

「えっ覚えてないの」

「え?覚えてるの?」

「覚えてるよ!ひどいよ満さん」と若干涙目なりんたろーくんにえへへごめんごめんと謝って、どこだったっけ?と聞いた。

「確か食堂が最初の出会いだった」

気が、する、と思い返しながらりんたろーくんは言う。あれれそうだったかしら、と私も頭の中の思い出の引き出しを無理矢理こじ開けてみた。




刧刧刧




ぐぎゅる

腹が鳴った。宇宙科に行ったら教室はもぬけの殻。どういうこったと嘆いていたら、近くを歩いていた上級生に今日は宇宙科だけ校外学習なのだと聞いた。

「(ぼっち飯きたこれ!!)」

いいもんね、お1人様は慣れていますものうふふ!とかちょっと強がってみたけどやっぱり寂しいものは寂しい。咲月先輩や笑先輩に電話を掛けてみたが出ない。いいやもう。高1だし飯ぐらい1人で食ったるわと開き直って、私は食堂に向かった。









「あ、満」

「ありゃ伸也」

食堂には見知った顔が1人居た。天文科の小熊伸也だ。伸也は私が1人なのに気付くと、一緒に食べようよ、と誘ってくれた。

「いいの!?」

「いいよね、三上くん」

「えっ、ああ、うん」

どうやら伸也は1人じゃなかったみたいだ。全然気付かなかった。アシメヘアーの男子はぼんやりしていたのかハッと我に返ると頷いた。

「やった、ありがと伸也、アシメヘアーくん」

「あ、アシメヘアー?」

「あ、この人はね三上くん。三上倫太郎くん」

「ほう!日立満と言います!よろしくね三上くん」

「ああ、はい、どうぞよろしく」

「じゃ、ご飯食べよっか」

「そうねー」

「…………」




刧刧刧


「思い出した」

「それはよかった」

「最初は名字呼びだったね」

「そうねえ」

「いつからりんたろーくん呼びになったんだっけか」

「うーん、忘れちゃった」

いつからだったっけね、と笑うりんたろーくん。その横顔に何故かキュンときて、私は思わずその横顔にチューをかましてやった。

「み、満さん!?」

「ふふー!不意討ち!」

どうだ!と笑って見せると、りんたろーくんは真っ赤な顔を両手で覆って、何か呟いた。

「(可愛すぎるでしょう…!)」

「おーい、りんたろーくん?」

どうしたんだいと彼のシャツを引っ張ると、りんたろーくんは急に私を抱きしめた。そして、

「お返しだよ、」

そう言って、私の首筋にキスをした。








◎愛すべきバカップル



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