日立兄弟







「龍だった」

「龍?」

突然ぽつりと呟いた満に、僕は首を傾げた。この片割れは昔から突拍子もないことをする。さて今回はなんだろう。

「夢の中にね、2匹の龍がでてきたの」

「…………龍って匹なの?」

「…………2頭?」

「ま、いいや。それでそれで?」

「うん。それでね、男の人と女の人がにっこり笑ったかと思ったらぶわって光に包まれて龍になってね、空に消えちゃったの」

「それは、星詠み?」

満の星詠みは基本的にパッと現れてパッと消えていくフラッシュバックみたいな感じらしいのだが、時たま夢として星詠みを感じとることもある、と聞いていたので、僕はこう質問した。が、満は首を横に振って「普通に夢だった」と答えた。あら。

「一応兄さんに夢診断してもらう?」

「うん。いちおー話してみる」


刧刧


リビングで爆睡していた白夜兄さんを揺すり起こすと、兄さんは一瞬ビクッとなってから「ごめんなさい姉ちゃん!」と言って飛び起きた。姉さんに何されたの兄さん。

「…お?我が愛しの弟妹たちか!どしたどした?何か悩みか?」

寝ているところを無理矢理起こしたにも関わらず、兄さんはよだれを拭って笑顔を向けてくれた。兄さんは優しいなあ。

僕らは、先ほどの満の夢の話を兄さんにした。すると、兄さんはほうほうと頷いて、

「すごいな!さすが双子だな!」

と笑った。
ん?どういうこと?と僕と満が首を傾げると、

「双子はな!中国では龍凰胎と言われて、おめでたいものとされてるんだ!」

「へー!」

「そうなんだ」

「おう!龍は皇帝で、凰は皇后だな!それが一度に訪れる奇跡は幸運を呼ぶ、と伝えられてきたんだぞ」

兄さんはそこまでいうと、がばりと僕たちを抱きしめ、

「だからな、お前らは日立家の幸運の象徴なんだぞ!」

嬉しそうに笑う兄さんを見て、腕の中の僕らはひっそりと目を合わせると同時に、照れるように笑った。














リクエスト頂いたんで日立兄弟で書いてみました。前回の朝野兄弟の対みたいな感じで


110207

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