はっきり言っていい。

俺は折原臨也が嫌いだ。関わりたくない。出来ることならいつまでも逃げていたい。そんな願いなど、簡単に叶えさせてくれないのがこの人間に関わってしまった結果だとしか思えない。まるで、全ての結末がわかったかのような振りをして、手のひらで自分が好きだと豪語する人間を踊らせて、時に良い夢を見させたり、時に暗い底に叩き落とす。飽きたらそれでおしまい。簡単に言えば、苦手だとかそういう存在でひとくくり扱いされるかもしれないが、俺はそういうんじゃなくて、数秒毎に信念が変わる、気持ち悪くて恐ろしい折原臨也が嫌いで仕方がない。そして、俺はそんな折原臨也と恋人同士として付き合っている。


「あばら、浮いてますよ。」

「あー…、うん、肉が付きにくいんだよね。」

「俺より軽いですしね。」

「それって嫌味?」


なんとなく椅子に座ってる臨也さんを抱きしめてみて、さらにごそごそと服の中に手を突っ込めば薄い腹にあばらが浮いてる。その骨をぐぐ、と触ってみればくすぐったいのか臨也さんは身をよじった。仕事が特に何もなかったのか暇潰しにしていたであろう手元のクロスワード雑誌は未だ開いたままだ。


「正臣くんのそれはデレてるの?」

「は?違いますよ、ただの定期的な恋人同士としての仕草をしているだけです。」


くすぐったそうにする臨也さんの肩ごしに頭を置いてなんとなく、すり寄ってみる。髪の毛がちくちくと当たっている所為かパタンと閉じたクロスワード雑誌でパコンと俺の頭を叩いた。それに気づきながらも無視をし、臨也さんの白磁の肌と匂いが鼻孔をくすぐる。露わになっているその部分を撫でながら、首筋にキスを落とす。


「……叩きまくってるんだからちょっとくらい反応してくれたらいいのに。」

「それは独り言ですか?」

「俺がこんな近距離に愛する人間がいるのにベラベラと独り言を言う寂しいやつだとでも思うのかい?君は。」

「思います。」


はっきりそう言ってやれば、一瞬ポカンとした顔になった…が、直ぐに腹を抱えて笑い始めた。きゃいきゃいと騒ぐ姿はまるで例のチャットでのその様にそっくりだ。元からそういう資質もあるんだろう、とその様子を見ていた。


「正臣くんのいっやみー!君に正面突っ切って言われたの初めてだよ。いやー、笑った笑った。でも、悪くないね、おかげで気分も乗って来たし、ね…?」


疑問系で問うあたりが、臨也さんの方が嫌味で性格悪い、だとかを思わせる。ついに臨也さんはクロスワード雑誌をテーブルの上に置いた。そして、そのままその顔をこちらに向けてキスを強いた。どちらかというと臨也さんにリードを奪われるキスでさえ、この人は酷く赤く、余裕が無くなって見える。それ故にそのまま座ってる臨也さんのズボンの中に手を入れてぐちゃりと上下に弄る。


「ん…、何、ここでするの?」

「ここでしますよ。臨也さんは座ったままで結構ですから。」

「テーブルとか痛いんだけどなぁ…。」

「……嫌です…よ、今日はここでします。」


そのまま指を挿れて内壁を押す。椅子が邪魔だな、と思った。人差し指と中指をぐちぐちと交互に動かせば、さらに面倒なことに気づく。ヒョイとそのまま臨也さんの足を掴んで逆側に置かせる。


「ん…ぁ…、まさおみく…?」

「ヤりにくいんですよ、正座して座るか、嫌なら俺が好きな体勢にさせていただきますけど。」


そう言えば、椅子の背中の方に抱きついて座る臨也さんを背中から抱きしめながら弄ぶ。そろそろいいか、と思ったあたりで指を引き抜けば、小さく甘い声が響く。それに続いてじゅぷり、と突っ込む。


「ひぁ…!あぅ…、ん…。」


ピクピクと小刻みに動く。椅子の背もたれを掴んで目を閉じて快感に耐えようとしている臨也さんを見て、どくん、と心臓が揺れた。今のこの状況を改めて確認する。俺が臨也さんを喘がせている。なんだ、これ、俺が臨也さんにこんなことが出来る?ははっ、なんだ俺、意外と臨也さんのこと好きだったりするんじゃん。もちろん、吐き気がするほど嫌いだけど。


「え…?や、なに…?」

「こっち向いてくださいよ。」

「まさおみくんが…、して欲しいならいい…よ?」

「して欲しいに決まってます。」


そう言って、くちゅりとキスをする。舌と唇で貪るように口付けをする。そのままこちらに臨也さんを向き直して、片足を肩に持ってより奥に進める。ずちゅずちゅ、と卑猥な音がして臨也さんが余計に高い声を出して喘ぐ。小刻みにビクンビクンと動く臨也さんが可愛く見えた。その自分の思考に嫌気が差した。


「ひぁ…!あ!や!お…くに…、ひああぁぁ…!」

「あぁ、飛び散っちゃいましたよ。」


奥の方を突けば簡単に臨也さんは達する。火照った臨也さんの頬を小さく撫でれば安心仕切ったような顔をして目を細め、こちらを見た。




ああ、気持ち悪い。






【生ぬるい貴方の体温が嫌い】





2010,06,05

正臨。

最初は甘い話にするつもりでした。気づいたらこうなってました。どうしてこうなった。簡単に言えば、正臣も臨也もお互いに特に恋愛感情はありません。ですが、セフレ…?と言われると答えに戸惑うようなそんな関係。名前だけ恋人というのにも当てはまらない。かといって、普通の恋人同士を名乗るなんて吐き気がする。そんな関係。正臣は間違いなく一番臨也が嫌いだと思います。だからこそ正臨書きたい…!











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