学生時代。


今じゃもう有り得ないことだけど、昔の学校ってのは屋上が解放されてることが多かった。それは絶好のサボリポイントであってさらに言えば昼食を食べるのにも人気があった。今は自殺する人が多いとかで絶対に開いていないけどね。


「何の用だよ、臨也。」

「ちゃんと来てくれたんだね。良かった、シズちゃんのことだからすっぽかすかと思った。」

「いくら大嫌いなノミ虫だろうと真剣な声で言われりゃな。」


へらへら笑いと異様に悪い顔をしたこいつくらいしか見たことが無かった普通の顔。こいつは狂ってるからしょうがない。イライラするそれを見かけたらぶちのめせばいい。今日はただ真剣な声で電話が聞こえたから必死に心を落ち着けて来ただけだ。


「あのね、ああ最初に言っておくけど今からいう言葉は嘘でも虚言でも絵空事でも無くて本当のことなんだ。だからキレないでね。」

「場合による。」

「あはは。まぁ、シズちゃんはそんな人だって思ってた。俺の思い通りにならないただ1人。」


どこか憂いに満ちた表情を見せた臨也。顔だけは無駄に良いからな、多分女子から見たら映えるように見えるんだろう。一度言葉を切った臨也は屋上のフェンスをさっと飛び越した。そのままゆっくり屋上の端を渡ってこちらを向いた。


「俺さ、シズちゃんが好きだよ。あ、別にどっか頭狂ったとかそんなんじゃないから。人としては嫌いだけど何だろね特別な存在として好き。じゃあ、その好きは何かって考えたんだよね。率直に言うと常に頭にうろちょろしてるくらいに好き。それがわかってからは頭を占めるくらいに好き。今、シズちゃんを見たら性欲的な意味で好きだった。」


唖然とした。
多分、何も言葉に出来なかった。出来なかったくせに片足を空中に浮かせ始めた臨也に全力で走ってフェンス越しに抱きしめた。


「別に死ぬ気は無いよ。シズちゃんのこと特別に好きだけど人間を愛する俺の中の人間にシズちゃんは入っていないからこれからも相変わらずに死ねばいいのにと思い続ける。」


後ろから抱きしめられている臨也はゆっくりと俺の中を器用に回転して唇を合わせた。合わせただけ。


「でもね、もし童貞のシズちゃんが一夜の過ちとして俺を抱いてくれるならメール頂戴。電話でもいいよ。期限は今日の授業の終わりまで。」


そのまま力が抜けていく俺の手を抜けてバイバイと手をふる臨也がいた。


「あ、言っておくけど誰かに言ったらシズちゃんのこと殺すからね。」


そう言いながらガチャンと鉄製のドアが閉まった。


「ちくしょう。」


俺は先ほどのフェンスに背中を向けて座った。携帯のメール画面を一度開いて宛先も件名も入れずに本文を二行開けて保存した。





【スパーキングステューデンツ】







2010,02,16

続きます。

続き物臭するのは気のせいでは無いのですが気力的な問題と1話に入らなそうだったからです。多分次はR15。






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