くじ引きCP第二段/正臣×臨也

(どうして貴方は、)



「正臣くん…。」


呼ばれたかと思って振り向けば、なんだか奇妙な顔をした臨也さんがいた。普通の人ならば奇妙になんて見えないのだろうが、彼があの折原臨也だという所以だろうか、俺が彼のそんな顔を見るのは初めてだった。


「……どうしたんスか…、目が異常に赤いっスよ。」

「……別に…、ただ擦りすぎただけ。」

「ばい菌入りますよ?」

「なんか、今日の正臣くんは嫌に優しいね。」


嘘…だろ…。
なんでそんなに普通に嬉しそうに笑うんだよ。真人間みたいな笑いだけはやめろよ。こっちが無性にイライラしてくる。だん、と拳を壁に打ちつける。びくりと震える臨也さんがそこにいた。飄々とその震える手を隠そうとポケットに手を突っ込み、じゃあ、正臣くんの機嫌が良い内に撤退しようかな、と笑った。あ、やばい、完全にキレた。


「…っ何?正臣くん。痛いんだけど。」

「うざいです。」

「なんだ、やっぱりいつもの正臣くんじゃないか。酷いな、簡単にうざいとか言っちゃあいけないよ。」


ぎりぎりと掴む右腕に痕がついたかもしれなかったけど、そんなの気にしてる場合じゃない。臨也さんが妙にリアルに睨んで来ても気にしない。大して身長も変わらないそんな奴に気圧されてたまるか。


「あんたがそんな面して、無駄に無理してるのうざいです。なんですか?平和島静雄絡みですか?それとも誰かにヤられたんですか?俺にとっちゃそんなんどうでもいいんですけどね、俺にそんな顔見せるってことは甘えたいってことですよね。大人が子供に甘えちゃいけないなんて決まりは無いんで、ね。」


もぞもぞと動き出す臨也さんはすぐにみっともなく大声で泣き始めた。大人は同じ大人に言いづらいことを持っているからかもしれないから。けど、今の俺は臨也さんより大分年下で良かった、と思った。


「お…れ…、正臣くんのそゆとこ大好き。」

「俺は大嫌いです。」


「ははっ、つれない…。」


ぎゅっと掴む力が強くなって驚いた。



(こんなにも弱い)




日記ログ

2010,05,15







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