トラスト・ミー/イザシズ


「例え、この世界から俺の愛する人間が消え去っても俺だけがシズちゃんの側にいてあげるよ。だって、君の為に俺がいるんだから。つまりは君も俺の為にいるってことさ。」


唐突に現れた臨也が放った言葉はそれだった。まるで俺にはくそムカつくノミ虫しかいないような発言だ。なんだあいつマジで意味わかんねえ。てめえに頼らなくても世界に俺と臨也だけになったら1人で生きてくことにする。一緒に生きていくなんてごめん被る。むしろ、考えたくもない。裏路地の塀の上に立ちながらなんか寂しそうな顔でこっちを見てくる。なんだそのまるで怖い夢を見てしまったような子供の表情は。


「そんなもん願い下げだ。考えたくもねえな。」

「酷いなぁ、シズちゃん。怖がってるのはシズちゃんでしょ?もしかして訪れるかもしれない俺とシズちゃんだけの世界で俺を信じることが。」

「…っ、馬鹿言ってんじゃねえ!!くそやろう!!」


手に持っていた標識が怪異な音をして半分に折れ曲がった。その勢いのまま臨也にぶん殴ろうとするとぴょんと飛んだ臨也は標識の上に飛び乗り、またぴょんと飛んで地面についた。


「シズちゃんはね…、そうやって隠そうとしてるけど俺にはモロバレ。まぁ、俺はシズちゃんが上手く駒に出来ないことがわかっているからそれがわかっちゃうのかもしれないけどね。」


ニヤリと忌々しい笑いを携えた臨也に思い切り標識をぶんなげようとした。何も動かないから糞ノミ虫野郎相手の癖に手が止まる。いつもは何だろうが止まんねーのに。


「ありがと、シズちゃん、止めてくれて。シズちゃんはこれで1つ人間に近づいたよ?それにね、シズちゃんはつらかったよね、人生。だってさ、悲しみも苦しみもぜーんぶ面白いくらい背負っちゃってさ、潰れそうだったよ。」


先ほどよりも綺麗に笑いをした臨也がいた。多分俺が初めて見た人間らしい笑いの臨也だった。手を退けられて近づいて来た臨也はただ1秒合わせるような行為をして、無邪気に笑った。


「だから、俺に吐き出せばいいよ。」


途端に嫌な笑いになったそれに俺は吐き気を催した。水たまりに俺が映ったら、そしたら、多分俺は人生最悪の笑いをしていただろう。噛みつくように臨也の首を絞めた筈なのに指をかけただけで終わってしまった。シズちゃんは俺にもう暴力なんか出来ないよ?とケラケラ笑うそれが酷く気持ち悪くて口を両手で押さえた。



2010,05,15

ボツ…!
続かなくなった…!
というか、うん、シズちゃん、ごめん…。







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