正臨/R15…?



ありったけの嫌な思いを込めて言った筈なのに、これだけの言葉で?と返される。こうも飄々とかわされると逆に拍子抜けになる。イライラしないところは俺が平和島静雄と違うという点だろう。


「でも、正臣くん、ちょうど良いときに来たよ。モンブランは好き?」

「嫌い、ではないです。」


それは良かった、と言ってカチャンと俺の前に有名な店のモンブランが並べられる。曰わく、さっきの取引相手から貰ったのだと言う。せっかくだから今の内に食べてしまおうと言うことらしい。カチャ、とフォークを持ち、銀紙を広げると反射して見えた自分が酷く情けない臆病者の顔をしていた。
気づいたら、臨也さんにフォークを振り上げて構えていた。俺の息は無駄に荒い。一瞬さえも驚かなかった臨也さんは人の良さそうな笑いをしていた。


「あんたが死ねばいいんです、今すぐに。そしたら、」

「そしたら?」

「そしたら、全てを解決出来ます。もやもやした思いも嫌な程渦巻く憎たらしい思いも。」


君に俺は殺せないよ、とでも言いたげな表情を浮かべる臨也さんの顔の脇に震える手でフォークを振り下ろす。と、同時に唇を塞いだ。
こんな思い、本当だなんて思えないし、思いたくもない。


「大丈夫、俺はそんな弱虫で臆病者な正臣くんだからこそ気にしてるんだ。人間が成長するのは必然の出来事だ、その必然に乗れない人間もたくさんいるけれど、俺は正臣くんがその必然を通るまでずっと待っててあげるから。」

「……やらせてください。」


いいよ、簡単に言う臨也さんをとりあえず思い切り上から抱きしめた。


「そう言えば、モンブラン、溶けちゃうんじゃない?」

「溶けてしまえばいいと思います、どろどろに。どうしようもないくらい。」


スルリと臨也さんの肌に手を滑らせながら、二度目のキスをした。



(弱虫モンブラン)


中に入り果ててしまえば、彼はそれに応えるように喘ぐ。




元ネタは紛れもなくめぐぽの弱虫モンブランです。
イメージでは、正臨正で正沙な感じ。
普通に沙樹ちゃんのことが好きな正臣の筈。それなのにこびりついて離れない臨也をどうにかしたい正臣。
愛という清純な感情を向けられるのは沙樹ちゃんだけ。
恋という不純な感情を向けられるのは臨也だけ。

2010,05,15
リアルログ









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