捏造学生時代/スパーキングシリーズ番外編シズイザ/バカップル注意




寒い。
身も凍るとは今日みたいな日を言うのだろう。今日の気温いったい何度だよ。ありえねえだろ、こんな日にマラソン大会とか。正直言ってサボりたい。それは多分大半の生徒が思っていることだろう。だいたい高校生にもなってマラソン大会なんてする学校はうちぐらいだろう。何が余計に嫌かってスターターがあのノミ虫野郎と隣同士ってことだ。何でも人がいない間に決められたらしく…まぁ、確かに俺も臨也もクラスでは浮いている方だからはずされるのは考えていた。考えてはいたが、これはない。第一マラソン大会の癖にスタート地点の並びが決まっているとはいったい何事だ。ああ、もういいとりあえずうざい。


「シズちゃん、シズちゃん。俺、シズちゃんと隣同士とか吐き気がするくらい嫌なんだけどさ。シズちゃんが消えてくれないかな?」

「てめえが消えればいい話だろ!」

「やだなぁ、シズちゃん。俺は死にたく無いし、単位が取れなくて留年するのも嫌だしね。」


そう。サボれない理由は今こいつが言ったことに起因する。なぜか知らないが毎年異常なまでにサボりのでるマラソン大会をなんとかしようと体育の単位に認定したらしい。全くバカな話だ。おかげで寒い中ノミ虫と準備運動しなければならない。


「おい、静雄。ちょっといいか?」

「ん?門田か、どうした?」

「臨也、調子悪そうだから見ててくれないか?多分あいつについて行けるのお前くらいだからな。」


とりあえず、耳を疑った。何言ってんだこいつ。臨也はいつも通りうざい野郎だ。相変わらずベラベラ余計なこと喋りやがるし、憎らしい目で睨んでくる。


「とりあえず、頼むよ。いつもと同じように追いかけてくれりゃいいからさ。」

「訳わかんねーけど、臨也に負ける気はねーから安心しとけ。むしろ、今日こそ殺してやるつもりだからな。」


門田は苦笑してじゃあ俺は戻るとか言って自分のスタート地点に戻った。俺も気乗りはしなかったが戻ろうとした。スタート地点では臨也が新羅と話してれのが見えた。
……やっぱいつも通りにしか見えねえ。門田の言ったことが杞憂にしか感じられず、ちょっとホッとしてる自分に腹が立って壁に頭叩きつけたい気分だった。


「シズちゃん、シズちゃん。」

「なんだよ。」

「勝負しようよ。勝った方が相手の言うことなんでも1つ聞くこと。」

「上等だ、後悔すんなよ?」

「やだな、シズちゃんが俺に追いかけっこで勝てたことあるっけ?いや、無いよね。シズちゃん、本当に足遅いもんね。」

「てめえが逃げ足早すぎるだけだろうが。しかもわざわざ罠仕掛けやがって!」


びきびきと血管がしなるのがなんとなくわかる。青筋立てて低い声で怒ると臨也はニヤニヤ笑いながら、やー!シズちゃん怖ーい!なんて言う。決めた。今、殺す。マジ殺す。


「いーざーやぁ!」

「あ、ほらシズちゃんスタートだよ!俺、先行くからね。」


そう言ってすごいスピードで走り抜ける臨也がいて、俺は怒り心頭のまま追いかけて走り始めた。よく考えたらわかるが、これはマラソンだ。全力疾走なんかしたらいつかはバテる。この時の俺は頭に血が上っていただけなんだと思いたい。今じゃ後悔している。
ひたすらに足を前に動かすと前方30メートル程前に臨也がいた。くそ。なんなんだあいつ。無駄に持久力ありやがる。あんな細っこいのに一体どこに体力あるんだっての。そう思いながらもしばらくの減速でちょっとずつペースを取り戻してきた自分がいて今なら臨也を抜かせるんじゃないかって時に臨也がスタートとは逆にものすごい勢いで減速してきた…ってかこのままじゃぶつかる。


「おい、臨也?」

「ひゅ…はっ…はっ…シズちゃ…っげほっげほっ!」


ついに立ち止まった臨也に釣られて俺も立ち止まった。しゃがみ込む臨也に近づくとジャージの裾を思いっきり掴まれた。そりゃもう指が白くなるくらいに。それよりも臨也の様子がおかしい。息が出来ていないのか酷く苦しそうで咳が止まらない。あれ?これなんて言うんだっけ。聞いたことあった筈なのに思い出せない。後続の連中はまだ姿を見せない。よく考えたら俺らのぶっちぎりだった。当たり前だ。伊達に年中追いかけっこしてる訳じゃない。って、そうじゃなくて!今のこの状況をどうする!


「だああ!とりあえず、ちゃんと息しろ!」

「出来な…っげほっげほっ…ひゅ…」

「…くそっ。立てるか?」


聞けば首を横に振られる。かといっておんぶされるのは気に食わないみたいで嫌々と頭を振られる。うるせえ。黙れ。そんなこと知るか。勝手にやらせてもらう。門田に言われていたじゃないか。今日の臨也は調子よくないって。掴まれた裾を強引に離してそのまま臨也を背負う。あとは順路を思い切り走るだけだ。重さなんて大して感じない。何年この体質と付き合ってると思ってんだ。耳元で相変わらずの不規則な呼吸をする音が聞こえて舌打ちした。先ほどよりも早いペースで行けば最終コーナーが見えて、ゴールのテープを切る係の先生が見えた。通り過ぎた俺はギャラリーなんか気にせずに簡易保健室だかに背中にいた臨也をぶち込んだ。しばらく待つと門田や新羅も現れてその頃には臨也も大分落ち着いていた。


「シズちゃんのバカ。アホ。死ね。殺す。」

「よくそんな口が聞けるな、臨也君よぉ。お前が俺のジャージ引っ張ったんじゃねえか。」

「不可抗力だよ!どこか掴んでないと地面とキスしちゃうレベルだったから掴んだだけ!それよりちゃんと俺、嫌だって示したよね!なんなの!ついに首の動きも理解出来なくなったの!?バカなの!?死ね!」

「あー、もううっせえ。俺とお前は曲がりなりにも付き合ってる。つまり恋人同士。なんとかしようとするは…、その…当たり前だろ…。」

「顔赤らめながらそんなこと言わないでくださーい。てか言ったじゃん、名目だけだって。甘ったるい関係は特に興味無いの。」


ベッドの縁から立ち始めた臨也に先ほどまで別のテントで他の生徒の相手をしていた保健の先生はこっちに来ると紙袋を渡してやっていた。またなるかもしれないから今日は持ってなさいだとか言われてるのが聞こえた。


「あーあ、明日から変な噂が流れたらどうしよう。」

「別にいつもの喧嘩だと思われて終わりだろ。」

「シズちゃんってバカ?いやバカだったね、ごめん。あのギャラリーの中、人1人背負ってマラソン大会走り抜けたやつなんていないよ。あ、そうかシズちゃんは人間じゃないもんね。そんなシズちゃんは俺好きだよ。それは良いんだけどさ、なんか知らないけど女子がキャーキャー言ってるしさ。つまりさ、今学校全体がうざい。俺の人間観察も確かにはかどって面白いけれど自分が話の中心が面白く無いよね。わかった?シズちゃん。」

「……つまり、俺が好きなんだろ?」

「っ!誰がそんなとこだけ聞けって言ったの!?バカでしょ!シズちゃん!」


その臨也を見てスタート前の勝負の内容を引き合いに出そうとした俺は結構酷い人間だと思った。







【スパーキングジャージ】



(あれさ、絶対に見せつけてるよね。臨也が気づかないなんて珍しいなー。)(岸谷、お前絶対面白がってるだろう。)







2010,03,06

マラソン大会がネタです。過呼吸臨也が書きたかっただけです。不純だ。題名のセンスの無さに笑ってください。にしてもなんだこのバカップル。おかしすぎる。











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