そいつらは5月4日の年に一度の俺の誕生日にいきなりやって来た。ピンポーンとインターホンが鳴り、昨日徹夜していたおかげでまだ眠い頭をほんの少しだけ上げるも眠気には勝てず、直ぐにまたベッドに逆戻りした。すると、相手が出てこなかったら連続で押すのがセオリーだとでも言うようなスピードでインターホンを連打する音が聞こえて、なんだこいつ迷惑過ぎるだろと人並みの結論を出した俺はこの対応が終わったら直ぐに寝ると決めつけて玄関に向かう。ここで寝ぼけずに映像付きのインターホンで訪問者を確認しておけば良かったと思っても後の祭りだ。


「ハッピーバースデー!」


所謂、100円で売っていそうなクラッカーをパァンと新羅が楽しそうに1つ鳴らして満足気に誕生日のお祝いを放った。その後ろでドタチンがいつも通りの顔で小さく手を上げて、よっ、と呟いてた。更にそのドタチンの隣でシズちゃんがパンパンに膨れ上がったスーパーの袋を2つ持って何故か平常心でいた。


「ありがとう、俺は寝るから。」

「そうやってせっかく来てあげた友達を無下にするのは良くないよ。扉を閉めようったってこっちには静雄がいるんだからね。」


閉めようとしていたドアに手を置かれた。それをそのまま新羅ごと挟んでやろうかとも思ったが、ドタチンがケーキ買って来たんだ。それだけでもどうだとかそんな事を言うから流石にそのドタチンの好意を受けないのも悪いと思って、部屋に上げた。適当に座ってて貰って自分は洗面所で冷たい水を被って段々と視界がクリアになっていった。部屋に戻るとテーブルの上が小さいパーティーみたいにいっぱいいっぱいになっていた。多分シズちゃんが持っていた大量の袋に入っていたお菓子とかジュースだと思う。アルコール関係が無いのは多分シズちゃんが決めたからだと思う。


「ほら、臨也。」


手渡された紙コップを受け取るとそのままオレンジジュースが注がれる。シズちゃんはそれが当たり前だとでも言うように注ぎ終えると自分の分にも注いで俺に付きだして来たので一体何なんだと思っていたら、乾杯とシズちゃんらしい小さな呟く用な声で言われたのでそのまま乾杯と返してしまった。それに気づいたのか残りの2人も紙コップを近づけて来て同じ用に乾杯した。何気に恥ずかしい。


「なんでいきなり誕生日祝ってくれようと思ったの?それなりに長い付き合いだけど今までに祝ってくれたことなんか一度も無いじゃない。」

「昨日セルティとしたメールを確認していてね、基本的に僕はセルティのメール以外はほとんど保存しておこうなんて思わないんだけどさ、随分前の君からのメールを保存していた事に気がついてさ。なんとなく気になって開けてみたら俺が誕生日を聞いた返答みたいになっていたんだよね。だからってことで良いかな。」


一口飲んでから気になっていた事を聞くと昨日偶然思い出したからみたいな言い方だった。その新羅の話に何故か2人が乗ったと言うことになるのか。


「思い出みたいなもんだ。大人になって何やってんだろうっていうことをたまにはやってみたくなるだろ?」

「シズちゃんって結構俺が思ってたより大人だったんだね、意外。」


淡々と告げれば本当にそう思ってんのかよ、と笑われた。こっちが話に夢中になってる内にドタチンがケーキの準備が出来たのかロウソクが何本か立て掛けられていた。これじゃ、俺、7歳じゃんって言えば数字型のロウソクを取り出したドタチンはこれで良いだろうとでも言いたげな顔をしていた。ちぐはぐなハッピーバースデーの歌を歌い始めた3人を恥ずかしく見ていながらロウソクの火を吹き消した。そのまま切り分けようとしたドタチンの手を止めてシズちゃんがデジカメを取り出した。ケーキをバックに記念撮影がしたいらしい。ソファの上にタイマーを設置したデジカメを置いてギリギリになりながらフレームの中に全員で入った。フラッシュが光ったのでシズちゃんが確認していたら小さく笑ったと言うよりも微笑んでいた。新羅がどうだったとシズちゃんに寄って行き、デジカメを新羅の方の見せると新羅も笑っていた。気になって俺も見せて貰おうと思ったら、シズちゃんが俺に手を伸ばして見せてきた。ケーキが僅かに見えるという程度で後は俺たちがぎゅうぎゅうと詰め込まれていた。これで良いのかと思ったがシズちゃんが良いなら気にしないでおこう。黙々と切
り分けに勤しんでいたドタチンがホールケーキを4等分にするという分け方をしていて多すぎるだろと思った。


「それをまさか普通に4等分するとは思わなかったな。こんなにたくさんお菓子があるってのに。」

「いや、俺はそれで良いと思う。」

「そんな目を輝かせて言われてもこの甘党が!くらいしか返せないんだけど。」


新羅はなんかこの大きさのケーキを食べたことにより身体に及ぼす影響だとかをなんか言ってるけどつまらないから上の空で聞いてやる。ドタチンは俺にハッピーバースデー臨也って英語で書かれたチョコレートのプレートまでをも一緒に渡した。フォークを生クリームとスポンジに突き立てて口に運んだ。


「あっま!」




【お前らの世界は甘すぎる】



(ちょっと何これ甘すぎでしょ。)(そんなにか?)(うん)(普通のショートケーキだと思うが。)(そうだね、甘すぎたかなぁ。)




2010.0504

来神組。
臨也誕生日おめでとう!
明るい仲良しな話って一体どう書くんでしたけっか……
最後の甘すぎはみんなの態度がってことですね。1人普通に臨也の甘すぎ発言に気づくかなと思いまして。読んで下さりありがとうございました。


神谷










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