スパーキングステューデンツの続き
学生時代捏造/臨也とドタチンが同じクラスで新羅とシズちゃんが同じクラス
良い方は下から!
「ドタチン、ドタチン。」
「だからその呼び方は止めろって言ってるだろうが!」
「俺、シズちゃんに告白して来ちゃった。」
あ、ドタチンが固まった。今なら何かしても気づかないかもね。ちょうど席が前のドタチンにツンツンとシャーペンを突き刺して話しかければ相変わらずの言葉を言うもののなんとか律儀にもこちらを向いてくれる。あの教師は席関係で何かしてても注意の1つもして来ない。授業熱心な訳でも無いけれど、人間を愛する俺から見たらそんな所も合わせて愛しているんだろう。あ、ドタチンがフリーズから戻った。
「どういうことだ?」
「どうもこうも無いよ、ただ朝のHR前に呼び出してシズちゃんの事が好きだ!愛してる!授業終わるまで返事頂戴!って言っただけ。もちろんシズちゃんには口止めしたけどね。」
教科書のページを捲りながらあの教師この前と同じとこしてるとか考えながら、次の時間あたりに新羅がこっちに来るだろうなぁなんて小さく笑った。ドタチンが小さくため息をついてこちらを向いた。
「また嫌がらせか?程ほどにしておけ、静雄が不憫だ。」
「やだなぁ、嫌がらせなんかじゃ無いよ。ガチな告白だよ。まぁ、シズちゃんがこの1日ひたすらに悩んでることは非常に嬉しいことだというのは否定しないけどね。」
にっこりとドタチンに笑ってそう言えばどこか頭が痛そうな顔をされた。全く心外だ。途端、ドアが勢いよく開く音。授業中なのにね。
「すんません、折原臨也に用がありまして。」
ちょっとドタチン、あーあなんて顔しないでよね。別に後悔とかしてるわけじゃないし。あ、でもシズちゃんがわざわざ懇切丁寧に俺を呼び出したのは笑わせて貰ったかな。
「やぁ、シズちゃん。今日は随分丁寧な呼び方だね。言っておくけどまだ授業中だよ?サボり?サボりはいけないんだよー。」
スタスタと俺の方に歩いてくるシズちゃんにどうしようかと逡巡しながらも、ま、ついてくのが得策かな。いちいち学校側に面倒も作りたく無いし、教師もシズちゃんの言うことには逆らいたくないみたいだし。む、なんだいドタチンお前もそれに入ってるみたいな顔は。全く失礼だよね。
「いーから来い。」
「わぉ、今回のシズちゃんは情熱的だね。」
教室のドアがバタンと閉まって廊下には歩く音しか響かない。隣のクラスの前横切ったら新羅が面白そうな顔して見てた。後で嫌がらせしてやろう。
「ねぇ、シズちゃん。」
沈黙。一言くらい返してくれたっていいのにね。そんなんだから友達いないんだよ、本当。
「シズちゃんってば。何、もう決めてくれたの?まだ2時間目なんだけど。沈黙は肯定と受け取るよ?でもさ、さすがの俺でも朝っぱらから犯される趣味は無いんだけどな。」
「俺はお前が嫌いだ。」
「立ち止まってすぐの言葉は嫌いって…そんなの知ってるんだから言わなくてもいいと思わない?てか、手が痛い。握られ過ぎて洒落にならないよ、シズちゃん。俺がシズちゃんを人間じゃない存在で好きだからってさすがにナイフでグサッと刺すよ?本当に。あ、でも刺さらないんだよね。切れはするんだけどさぁ、困ったものだよね。」
いつもならぴきぴきと音がする血管も今日は優秀に働いている。何これつまんない。
「だから、一夜の過ちとかそういうの許せねーし、そ、そういうのの経験が無いのも否定はしない。」
「あっは!やっぱりシズちゃん童貞だったんだ!」
「だから…、」
つまり断るってことね。何それ酷くない?ここまで呼び出しておいて。しかも授業中。てかまずさ、良いならメールしてって言った筈なのに呼び出すってどこの昭和の学生?シズちゃんって昼ドラとか朝ドラの見過ぎじゃない?
「だから、付き合うことから始めねーかな。」
え?今なんて言った?ホワイ?ぱーどぅん?ちょっと話の繋がりおかしいよ、シズちゃん。日本語もわからなくなったの?流石にちょっと可哀想になって来たよ。目の前に恥ずかしそうにしている男とか…もう、誰?
「あ、あのさ。」
「んだよ。」
「普通はさ、今のくだりで付き合うとかおかしくない?てか絶対おかしいよね!違うからね!俺は別に付き合うとかそんな蜂蜜漬けみたいな甘い関係を望んだ訳じゃないの!そんな人間らしい恋人同士とかカップルとかじゃないの!わかってる!?俺は人間としてのシズちゃんは嫌いなの!大嫌い!ナイフ突き立てて殺したいくらいにさ!」
「ごちゃごちゃうるせえ。」
恥ずかしそうにしてた目があげられてこっちに掴まれてた腕を引っ張られてガンって嫌な音しながら唇がぶつかり合った。もう唇が合わさった余韻とかがなくて歯がすごく痛いんだけど。
「俺は折原臨也が嫌いだ。理屈臭くて嫌いだ。人を馬鹿にしたような態度が嫌いだ。人を陥れようとするのが嫌いだ。てかなんかもううぜーのが嫌いだ。」
「どうしたの、シズちゃん。ずいぶん饒舌だね。あと嫌いとか言う癖にキスするなんてセクハラだね。訴えるよ?」
「だけど、笑ってる顔は好きだ。」
「は?」
異様に近い距離。こんな近くに誰かがいるのなんて無いよなぁ、なんてこと考えながら止まらない口が短く言葉を発しただけで沈黙した。
「お前が人間じゃない特別な存在としての俺を好きなように俺はお前の笑顔が好きだ。」
そう言ったシズちゃんが至極真剣で目とか離せなくてなんかもう流れに身を任せていてそのままそんな俺とシズちゃんの不思議な付き合いが始まった。
「じゃあさ、とりあえず抱いてよ。今の展開なら俺の意見も尊重するべきだよね。TPOとか明らかに今からヤりますって感じだもんね。童貞のシズちゃんの為に保健体育の教科書でも持ってきてあげようか?」
【スパーキングクラス】
2010,02,22
続きます。
あと1話程。次は臨也の意見を尊重したシズちゃんのつもりで…す…。
ハッピーエンドになるのでしょうか。そしてこれは学生時代の必要性はあったのだろうか。お互いの好きと嫌いが見事にクロスしてるように書きたかったんです。臨也は人間じゃないシズちゃんが好きでシズちゃんは人間のような恋をする臨也が好き…が前提だったりします。
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