牡丹雪

「あ"ー…さっみぃな、オイ…」

「当たり前だろォ…冬なんだからよォ…」


後に攘夷戦争と呼ばれる戦いに俺達は参加していた。

戦争中とは思えない程静かな日の夜。

俺達は二人揃って潜伏している古びた屋敷近くの小せぇ山に登っていた…人気どころか動物の気配すらしない本当に静かな夜。


「…ったく…どっかのチビが外行くなんざ言わなきゃこんな寒ィ思いしなくて済んだのによぉ…」

「誰の事言ってんだ…大体着いて来いなんて言ってねェだろうが…」


山を登りながら小さく呟いた高杉の後ろ姿に手を伸ばす。


「…?なんだァ…?」

「…低いなと思って」


ピキッと音がしたんじゃと思う勢いで高杉の眉間に皺がよって俺の胸ぐらを掴む寸前でその手は動きを止めて俺に背を向け再び歩き出す。


「?」

「テメェの阿呆に付き合ってたらキリがねェ…」


突っ掛かって、突っ掛かられての俺達の関係は実は一般的に言う恋仲の関係ではあるし、それを隠す為に人前ではからかうような言葉をつい口にする。

だけどまぁそれだけが理由って訳じゃなくて怒った高杉の顔が割りと好きだからってのは俺だけの秘密だ。

二人の時ぐらいその阿呆はどうにかならねェのかとぼやきながら歩く高杉の言葉に、それもそうかと思えば自然に笑みを浮かべた俺は高杉の手を掴んで走り出した。


「っ…!今度はなんだ…ッ…」


急に手を引いて走り出した俺に近くに敵でも居るのかと確認するように周りの気配を探る高杉に苦笑いして走りながら振り返る。


「上まで行くんだろ?寒ィし走ろうぜ?」

「…!ククッ…やっぱ阿呆だ」


高杉の言葉は聞こえないフリをして俺達は山頂まで手を繋いだまま走った。




「…は…っ」

「…ったく…んな夜中に、全力疾走すんなやァ…ッ… 」

「や、たまにはいいだろ…?」


静かな山頂で乱れた呼吸が耳に残ってなんだか不思議な気分になりながら呼吸を整える。


「はぁー…疲れた。」


山頂に聳え立つ木の側に二人で腰掛けた。


「ククッ…まぁ、悪かねェ…」


そう言って空を見上げた高杉に釣られて空を見上げる。


「「星見えねェ…」」


曇った空に呟けば高杉と言葉が重なった。


「「真似すんな」」


「…………………」

「…………ップ」


再度重なった言葉に面白くなって思わず吹き出す。


「…クククッ」


それに釣られたのか高杉も笑い出してそんな顔が可愛くて距離を縮める。


「…近ェ…」


一通り笑い終えた高杉の言葉を無視して肩を抱き寄せ顔を覗き込めば、そっと薄い唇に唇を押し当てるだけのガキみてぇな口付けをした。


「ッ…」

「唇冷てぇ…」


そう言って再度口付けを交わせば高杉は恥ずかしそうに目を逸らした。


「あ…」

「?」


薄い唇から漏れた小さな声に首を傾げる。


「…見ろ、銀時」


高杉の視線を辿って空を見上げれば、暗い空からはらはらと牡丹雪が降り始めていた。


「テメェの髪と一緒だなァ…」

「ん?あぁ…」

「綺麗だ。」


降る雪にそう呟いた高杉が酷く愛しく思えた。


雪に向かって手を伸ばした高杉に俺は後ろから閉じ込めるように抱き締めて肩に顔を埋める。


「なぁ銀時」

「んー?」


“また来ようなァ…?”呟かれた高杉の言葉に笑みを浮かべて“約束だ”と俺は強く抱き締め直した。



(帰ろう、晋助)



→後書









らいむ様との相互記念に書かせて頂きやした…!!

書くの楽しくて長くなった気がする…ごめんね、らいむちゃん…( ´,_ゝ`)

攘夷銀高で明るい感じと言われてたのになんか最終的にしんみりしてしもうた…申し訳ねぇ…

初めての相互にテンション上がってあれやこれや詰め込もうとしすぎた結果がこれだよ、ちくしょう…!!

ともあれ、こんな僕と相互をOKしてくれたらいむちゃんに感謝です…!

これからよろしくお願いします(/ω\*)

ここまで読んで下さったお姉様達、ありがとうございました!

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緋桜様に相互記念小説をかいていただきました……!!
ひいいいい!なんだこれは……高杉何でこんな可愛いんですか…お互いがお互い愛し合ってるのがひしひし伝わってきて本当に素敵です!
この後約束は果たされたのかなと考えれば考えるほど胸が締め付けられます、この幸せな時間続いてくれっ……

こちらこそ勉強になります相互ありがとうございます、嬉しい限りです……!
緋桜様よろしくお願いします!
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