睦月 胡蝶菫(白晋)

※白晋設定
(→攘夷志士白夜叉×万事屋晋ちゃん)


「晋ちゃん!私駄菓子屋寄りたいネ!いいアルか?」

「…好きにしろ」

「やったアル!!」

「新八てめーが金出してやれ」

「えええ!?僕ですか!?」


七草粥を食べる頃なら実家に帰っている連中も戻ってくるだろう、
という理由で
(本当は正月にだらけきって家から出たくなかった)
元日から一週間もたった今日、新年の挨拶回りをしていたところだった。

「男だろォ?」

「晋さんだって男でしょーが!」

「俺ァもう疲れた。
から、そこの公園で一休みしてくる」

「おいィィィ!」

喚いてる餓鬼共はほっといて、冷えたベンチに座った。

抜けるような青空が上を見ると広がっていて、
俺が一つ息を吐くとそこには一瞬で消えてしまう雲が出来た。

ああ、平和だ。


「…───銀時──」


ふとしたときに、アイツを思い出す。

ボーッとしたくても、そのお陰でボーッとできない。

『白夜叉は不滅だ』
と言いながら見せる歪な笑顔が頭にこびりついていて。


……っくそ。


ふと横の花壇を見ると、
花が咲いていた。

小さな背丈で(雑草みてェ、なんてのは罰当たりか)、木枯しに吹かれながらもまぁ健気に。

黄色と黒の毒々しい花に、
濃淡の差がある紫の花。
濃い紅色と黒の花、と色鮮やか。



「冬の寒ィのに、よく咲いてやがる」

「本当だね」


「!?」


ベンチの背後から声がして、思わず振り向いた。

よく知った、大切な声がした。

「明けましておめでとう、高杉……」

笠の下から零れる銀色。
痛々しい包帯と、
毒々しい赤い目が。

あ、あ。

「……ぎ、ん…」

「胡蝶菫、キレイだね」

「はっ!?…あぁ、この花そういう名前なのか…」

クスリ、と笑われた。

「うん。でも高杉の方がキレイだよ」

ふいに綺麗、なんて言われた。

「………は…?」

「ふふ、顔真っ赤」

「ちょ、おいお前……」

「あ、迎えが来た。
…じゃあね、



………晋助」



最後、アイツは腰を屈めて俺の耳元でそう囁いた。

相変わらず、甘い匂いがして胸が締め付けられる。

「…っちょ、まて…銀時っ……!」

群青色の服を着た男のところまで歩いていくと、
ちらりと振り向き目を細め微笑んだ。

それはそれは妖しく。

「……っぎ、……」

「晋ちゃーん!豊作だったアルー!」

ハ、と神楽の声に引き戻されて、そちらを向くと
楽しそうな餓鬼二人。


視線を元に戻すと、
もうあいつらはいなかった。

ああもう。

訳がわかんねぇ。

何でここにいて、
俺に声をかけて、
あんな風に笑う?



あいつはまだ俺を想っているのか……?



答えは見つからないと知っていても、
悩まされる。



だから、


「お前のせいで、話しかけられたんだぞ」


とりあえず、

そこに咲いていた花のせいにしてみた。




胡蝶菫




「お前は、まだ俺を想ってくれてるんだよね?
……俺は一生大事に想うよ、…晋助…」




*****






巷で流行りの白晋ですよ白晋!

白晋の白夜叉は、ハンターハンターのヒソカをイメージ
妖しくて何考えてるかわかんないくせに、口調がめちゃくちゃ優しいみたいな



花なんですが分かりにくくてごめんなさい、
胡蝶菫(こちょうずみれ)とは
所謂パンジーです

本来は春を告げる花ですけど最近は冬咲いてますよね
私の学校にも冬咲いてます

花言葉は
“物思い”
“思案する”
“私を思ってください”
“私は貴方を思う”
“思い出”
“純愛”
“一人にしないで”

等です
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