霜月 曼珠沙華(銀高)

先生の墓は、人がよらない山奥にたててある。


俺は大した手土産は持っていねぇが、せいぜい先生の好きだった酒を片手に山に入った。

そろそろ秋になりかけているこの頃。

酒を添え、冷たい墓石にいつくかの思い出話をしてから山を降りる。


その最中、この人がよりつかない山で人影を見た。


すれ違ったのは、銀髪の男。

こちらを見ることもなかった紅い紅い瞳。


あの紅い瞳が再びこの俺をうつす日は、いつになるだろうな?


そいつの手には、数本の花が握られていた。

紅い紅い、あいつの眼と同じ色をした曼珠沙華。


そのままお互いに見て見ぬふりをして山を降りる。


麓を見て、俺は目を見張った。



毒々しい、
紅、紅、紅。

黄泉の世界の入り口のような
曼珠沙華の花畑。

あいつはここに生えてたのを摘んで来たのか。

花一つでも存在感を発するこの花は、
たくさんになると更に毒々しいというか禍々しいというか
不思議な雰囲気を持っている。



戦場のあいつによく似た雰囲気。


まるで黄泉の世界から来たんじゃねぇか、ってな程の殺気、禍々しさ。




ああ、もうあいつの事を考えるのはよそう。




恋しくなるだけだな。




あばよ、銀時。


いつになるかはわからねぇが






また会う日を楽しみに。




曼珠沙華






*****




拍手文とは思えない暗さ(´・ω・`)


季節の花をテーマに銀高で、毎月更新していこうと思います



曼珠沙華の花言葉は
“悲しい思い出”
“想うは貴方一人”
“また会う日を楽しみに”

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