▼霜月 曼珠沙華(銀高)
先生の墓は、人がよらない山奥にたててある。
俺は大した手土産は持っていねぇが、せいぜい先生の好きだった酒を片手に山に入った。
そろそろ秋になりかけているこの頃。
酒を添え、冷たい墓石にいつくかの思い出話をしてから山を降りる。
その最中、この人がよりつかない山で人影を見た。
すれ違ったのは、銀髪の男。
こちらを見ることもなかった紅い紅い瞳。
あの紅い瞳が再びこの俺をうつす日は、いつになるだろうな?
そいつの手には、数本の花が握られていた。
紅い紅い、あいつの眼と同じ色をした曼珠沙華。
そのままお互いに見て見ぬふりをして山を降りる。
麓を見て、俺は目を見張った。
毒々しい、
紅、紅、紅。
黄泉の世界の入り口のような
曼珠沙華の花畑。
あいつはここに生えてたのを摘んで来たのか。
花一つでも存在感を発するこの花は、
たくさんになると更に毒々しいというか禍々しいというか
不思議な雰囲気を持っている。
戦場のあいつによく似た雰囲気。
まるで黄泉の世界から来たんじゃねぇか、ってな程の殺気、禍々しさ。
ああ、もうあいつの事を考えるのはよそう。
恋しくなるだけだな。
あばよ、銀時。
いつになるかはわからねぇが
また会う日を楽しみに。
曼珠沙華
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拍手文とは思えない暗さ(´・ω・`)
季節の花をテーマに銀高で、毎月更新していこうと思います
曼珠沙華の花言葉は
“悲しい思い出”
“想うは貴方一人”
“また会う日を楽しみに”
等[ 1/17 ]