神無月 秋桜 (八高)

「俺ん家のマンションの前によ、コスモス咲いたんだわ」

「……お、おう」

国語準備室で、突然銀八が読んでいた小説を置いて口を開いた。

「それもよ、高杉お前コスモスって言ったら何色だと思うよ?」

「あ?えー…っと……ピンクとかか?」

銀八のくせに花の話なんてどうしたのかと思った。

「そう、ピンクとか可愛い色連想するだろ?その花どす黒いんだよ」

「どす黒い……?泥でもかけられたのか?」

「いやあね、管理人に聞いたらそういう品種なんだと。」

銀八は話しながらこちらに近づいてきて、俺のすぐ隣に座ってくる。
俺も自分の読みかけの本に栞をはさみ銀八を見据えた。
その本の中身は、俺達の不純な関係からは遠くかけ離れた幼い少年少女の物語。銀八にすすめられたものだ。

「面白れェだろ、それ」

「……ああ、趣味は銀八らしくないけど」

「それ続く物語があるわけよ。そのラストが面白いわけ」

さっき銀八が読んでいたそれがその続きらしく、ちらりと机の上の本に彼は目をやる。

「……お前、コスモスの話はどうした」

「ああ、そうだな。」

仮にも国語教師であるこの男は、滅多に話が飛躍したりしないので珍しい。

「……やっぱりネタバレするからいいや、悪ィ」

「はっ!?訳わかんねぇ……」

「いやあね、この話はコスモスがピンクから黒くなる話なんだ、って言いたかったんだけど」

「……俺が読みきってから言えよ」

「うん、悪ィ」


俺達は、黒にならないで、永久に赤で



秋桜



秋桜は色ごとに花言葉が違うので、それを使いたかったんですけど訳のわからない話になって終わりました(汗)


コスモスの花言葉は、
ピンクは“少女の純潔”
赤は“調和” “愛情”、
白は“美麗” “純潔” “優美”、
濃ピンクは“愛情”、
黄花コスモス“野生美”、
濃紫のチョコレートコスモスは“恋の終り”

を意味します、
その小説は最後に恋が終わってしまうから、自分達は愛情が続くように。っていうお話
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