文月 あざみ(攘夷銀高)

攘夷戦争、なんて名前のついたそれは、
お国のために平和のためになんて理由じゃなくて師を取り戻すための殺し合い。

殺伐とした屍の山に埋もれ、赤黒い体液を浴びるだけの日々には割れた地に咲く雑草すら輝いて見えた。

春には先生といた頃を悲しいくらい彷彿させるたんぽぽや土筆、秋にはすすきとよく知る花が咲いた。

が、この梅雨が開けるか開けないかの湿気に満ちた時期に毒々しい色の花が咲いていた。

暗い紅紫。

「アザミって言うんだぜ、これ」

それを見下ろしていると、どこからか現れた高杉が小さな声で教えてくれた。

「あ、名前聞いたことあるかも」

「結構有名かと思ったんだか、やっぱり知らねぇのか」

「うん」

俺が無意識にその花に触ろうとすると、後ろからぼかんと殴られる。

「!?」

「馬鹿。棘も毒もあんぞその花。人間嫌いで寄せ付けねぇんだよ」

この花にやたら博識な高杉にびっくりした。

「お前、悪趣味な。この花好きなんだ?」

「嫌いじゃねぇぜ?」
初めて会ったときの銀時みたいで。

ニヤリと笑ってそう言う。
子供の俺はこんな風に高杉に映っていたのかと思うと、苦笑いしか生まれなかった。

「今は棘があっても毒は抜けたな」

「うっせーわコノヤロー。……ねぇ、俺ほんとにこんなだった?」


こんな会話の数年後、高杉はアザミのような奴になるとは全く考えるはずもなくて、なんてな。







薊(あざみ)

人間嫌いの復讐心

*****


今回もどろどろした攘夷……(汗)
しかも更新遅れてすいませんでした

アザミってマイナーかも知れませんがきっと皆さん見たことあると思います
いろんな季節に咲いてるんで←ぇ


アザミの花言葉は
“権威”
“厳格”
“人間嫌い”
“独立”
“報復”
“復讐”
“批評家”
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