僕の居場所のある世界(1)
朝日が顔にあたり、ふと目を覚ます。
布団から出て眼鏡をかけ障子を開けると元気良さげな太陽が顔を出していた。
うん、今日もいい朝だ!
さてと、眼鏡をかけてお通ちゃんのポスターに挨拶を………
って、あれ?
ポスターの貼ってあった場所には痕跡もなく少し黄ばんだ壁。
「……ない…」
ない、僕のお通ちゃんグッズが!!!
どこにも!!!
「姉上ェェェ!!!」
「あら、新ちゃんおはよう」
台所に立ちダークマターを作る姉上を阻止してから訊いた。
「あ、ああ姉上、僕のお通ちゃんグッズが…!!」
「ぐっず?なぁにそれは?」
「え………」
「お通さんならいつもみたいに近くの橋で歌を歌って稼いでるでしょ?」
「橋…!?」
「新ちゃんの好きな歌う女の子でしょ?」
何やら様子がおかしい…!?
「そんなことより新ちゃん、朝ごはん…」
「すいません姉上、僕万事屋に行ってきます!」
街に出ても、いつもとは何かが違った。
違和感の正体はわからなかったが、万事屋に行けば何かわかるかもしれないとひた走る。
万事屋は相変わらずだった。
『万事屋銀ちゃん』とかかれたプレートが掲げられている。
『スナックお登勢』は『飲み屋お登勢』に変わっていたが、まぁ意味は同じようなもの。
……じゃあ何で変わったんだろ?
一応、飲み屋お登勢の中に入ってみた。
「おはようございます…」
「銀時になついてるガキじゃないかい。今は営業時間外だよ」
そこにはお登勢さんが居て、座敷の飲み屋に変わっていた。
改装工事なんてしてなかったはずなのに。
僕の名前なら知ってるはずなのに、ずいぶん他人行儀だ。
「……あれ…?」
「?のれんはかかってなかっただろ?」
「おーいお登勢」
後ろからおじいさんの声。
「なんだィ辰五郎?」
お登勢さんはそのまま店の奥に戻っていった。
辰五郎、って攘夷戦争で亡くなったお登勢さんの旦那さんだよね?
何で……
というかキャサリンさんやたまさんは!?
「お登勢さん、キャサリンさんは─……」
「悪いけど、後で店開けてからにしておくれ!」
ばさりと切られて、
僕は焦り万事屋に走った。
「銀さん!!!」
戸を開けると、玄関には見慣れない履き物が4つ。
もうお客さんが来てるのかな?
でも銀さんのブーツはないな…。
神楽ちゃんの黒い靴がないのは定春と散歩中と見た。
居間は障子が閉められていてわからないけど、廊下の内装は変わっていない。
「なんだ?ぱっつぁんか。」
障子が開いて銀さんが出てきた。
でも、いつも着ている黒いジャージのようなインナーのような上下は着ておらず、白地に水色の裾模様のいつもの着物を地肌に一枚着ていた。
「銀さん、町の様子が変なんです!」
「?そうなのか?」
「おお、新八君!元気そうだな」
銀さんの後ろから桂さんが顔を出した。
良かった、桂さんはいつもと変わらないみたい。
「桂さん、おはようございます。」
「あー…新八、悪ィんだけど今は大事な客が来てるから後でな」
「大事な客?」
その時、後ろからはじめて聞く声がした。
「銀時、私達に構わずに話を聞いてやりなさい。」
誰?
銀さんと桂さんが同じ名を呼んだ。
「「松陽先生……」」
え?
……ちょ、…え…?
松陽先生って……
「えええええええええ!?」
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