ティラミスと猫(1)

*注意*
・現代の世界です
・人と猫(?)です
・最初の舞台はペットショップ
・ヅラはペットショップのお兄さん
・銀さんは大学生










どこで生まれて、誰に育てられたのかわからない。

記憶のある時、俺はすでに窓ガラスの中にいた。

小さな小さな部屋に、閉じ込められていた。


人間は何がしたいのかにこにこ笑いながら俺達を眺めていく。

小さな子供は何を思ったのかガラスをつついてくる。

でも、俺達に飯や水をくれる人間もいた。

毛が黒くて長くて、よく俺達の肉球を押してくる奴とか。

そいつは他の人間達にヅラって呼ばれてる。

たまにちゅうしゃ、って針刺されたりもする。
あれは痛いから嫌だ。

たまに人間に抱っこされることもある。

その時は外に出れる。

でも、結局またガラスに閉じ込められるんだ。


外に、出てみたい。


周りの奴等は皆新しい奴で、俺なんかよりも小さいガキしか最近いない。

小型犬のガキなんか声が高くてやかましいし。




そんな日々が続いて、ある日のことだった。

赤い目の人間が、俺を覗きこんできた。

銀色の毛。

「ヅラぁ、俺こいつ飼うわ。」

そいつが、ヅラにそう言うのが聞こえた。

“飼う”と人間に言われた奴等は、皆知らないところに連れていかれた。

その後どうなったのかなんてしらない。

一匹もここに戻ってきた奴はいないから。

どうなるんだろう。

「良かったな。銀時ならお前を存分可愛がってくれるだろう」

ヅラは、俺をガラスの外に出してくれた。

銀色の奴の手がのびてきて、俺を抱っこしてくる。

不思議と懐かしい感じがした。

温かかった。









「名前どーしよ…うーん…」

なにやら遠くに連れていかれた。

ガラスから出たことのない俺は、見たことのない物をいっぱい見た。

いっぱい人間が歩いてる、灰色の道。

銀色とか赤とか白とか青とか、色んな色の大きい機械みたいなのがいっぱい走ってた。

あれは多分、“くるま”って奴だ。

茶色くて太くて大きい棒に、緑色の小さいのが上の方にいっぱいついてる。
あれが“き”か?

「晋助、とかどう?」

俺の上から声が降ってきて、そっちを見上げると楽しそうなそいつが俺を見ていた。

「にゃぁ」

しんすけ、って何だ?

「よし、じゃあ今日からお前を晋助って呼ぶ」

名前…ああ、ネコとか呼ばれてたからその代わりか。

前に俺の知り合いの白い犬でも“さだはる”って名前をつけられた奴がいた。

「俺は銀時、だ。いいな?」

ぎんとき。

わかった。お前はぎんときって名前なんだな。

「ん、俺の家ついたぞ」

“いえ”は知ってる。

人が住むとこだろ。

そう言いながらぎんときはなんか銀色のなんともいえない形の物を取り出した。

キラキラしてる。

「何?鍵ほしいの?」

かぎ、っていうのか。

それをぎんときはドアの小さい穴の部分に差し込んで、カチャリと回した。

ぬくと、ドアが開く。

なんで開くんだろう?

いえに入れられ、

「よし、今日からここがお前の家だからな、晋助。」

そう言われた。

ひどいことをされるわけでもなく、多分俺はここでこいつとずっと一緒なんだな。


そう、思った。

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