ティラミスと猫(2)

「ん、ただいま晋助」


ぎんときは、いい奴だった。

ぎんときはだいがく、というところに勉強しにいっているらしくて、ばいとという仕事をしてるらしい。

いえにいる間は俺と一緒に遊んでくれる。

ぎんときは好きだ。


ぎんときと一緒にいると、すごくもっと一緒に居たいって、遊びたいって思う。

きっとこれが“楽しい”。


「今日はお前が来た日から一ヶ月だろ。だから一日一緒にいてやるよ」

そう言って、俺の頭を撫でてきた。

がしがしって、荒くて優しい撫で方が好き。

ぎんとき、ぎんとき。

「んにゃあ」

お礼にぎんときの膝に頭をこすりつけた。

「くすぐってぇよ」

ぎんときはこうすると嬉しそうだから。

チリン、って音が鳴る。

ぎんときが俺につけた茶色い首輪の鈴の音。

ティラミス色、と言って悲しそうに笑ったのが忘れられない。

と思ったら、ピンポーン、って音がした。

誰かお客だ。

「んだよ…」

そう言いながら立ち上がって歩いていくぎんときを追いかける。

「なんだヅラかよ」

「ヅラじゃない桂だ」

あ、ヅラだ!


「む、元気でやっているな」

俺を見るとヅラは俺を抱き上げて、いつものように肉球をさわってきた。

「ちょっと。うちの晋ちゃんに何してんの。」

「にしても本当に高杉に似ているな。貴様もしかしてあやつの化身か何かなのか!」

「人ん家来てうるせーよ。返せ」

「んにゃ」

ぎんときが俺をヅラから取り上げる。

たかすぎ……?

今、ヅラがそう言ったときぎんときが悲しそうにした。

「全くもう、友達が遊びに来てくれたのに何だその態度は!もう!」

「おかーさんか!」

「ところで銀時。明日のサークルの飲み会来るか?」

「あ、お前幹事だっけ?辰馬も行くって言ってたし行くつもり」

「あいわかった。」


ぎんときが、明日どこかへ行くみたい。


ヅラも俺と一緒に遊んでくれた。


「にゃぁ、にゃー」

ヅラが何か食べてる。

「む?貴様もそばが食べたいのか?」

「そばはダメだろ。晋助、こっちおいで」


ぎんときに呼ばれたからとりあえずぎんときの方に。

ぎんときはなんか、茶色いお菓子食べてた。

四角くて、コーヒーみたいに甘いにおいの。



ぎんときの大きな手で頭を撫でられた。


なんか、眠くなってきたなぁ…



まぶたが重い。



目を、閉じた。






『…晋助、……晋助っ…』


ぎんときが泣いてる。


今よりも子供のぎんときが、俺を見て。


『……ごめんな、晋助…俺が連れ出さなかったら…』


なんで謝るの?


銀時は、悪くない……


銀時、撫でてあげるから泣かないで。

あれ?

俺の、手が、

肌色の

人の手…………


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