銀世界(3)

「わあぁっ、いっぱい積もってるアル!」

「綺麗ですね!」

「銀ちゃんもこっち来るネっ!」

人がジャンプ読んでる最中だってのに、玄関から俺を呼ぶでけぇ声。

「あーはいはい、何を雪ごときで騒いでんだてめーらは…」

「とか言いながら、半纏なんか持ってきてちゃんと装備してるあたり、銀さんも好きなんじゃないんですか?」

「…まぁな。つか前にこのまま出て風邪引いたことあんの。ほらおめーらもちゃんと着ろ」

「あ、ありがとうございます。ほら神楽ちゃんも着て!」

「よし、じゃ遊ぶアル!」

「えぇ!?神楽ちゃん今何時だと思ってんの!?」

「雪の日くらい夜更かししたって文句言われないアル!つか新八だって今日は珍しくなかなか帰らねーじゃんヨ!」

「仕事が長引いたのとこんな雪で帰るのは危ないから今夜は僕泊まってくって話になったよ、ってさっき言ったよね?」

「そーだったっけ?まぁいいアル。新八、雪合戦するネ!銀ちゃんも!」

「外に行くのはもう決定事項なんだ…わかった、やるやる。」

「俺も後から下行くわ。ババアに怒られねーように暴れんなよ。」

「「はーい」」

新八と神楽が賑やかに降りていってから、俺は雪を眺めていた。




今でも、

この腕で抱き締めた奴の温もりを覚えてる。


似合ってるって言ってくれた声も、

泣いてて震える肩も、

悪態つきながらも照れてた姿も。




高杉。



今どこにいんのかも何してんのかもさっぱりわかんねーけどよ。




出来たら


どっかでこの雪見てて、



煙管でも吸って、笑いながら


あの夜の事と俺の顔を思い出しててくれりゃあ幸せだな。


なーんつって。


「奴等が待ってんな、行かなきゃ……」



END

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