ヤキモチ妬きとポッキーゲーム(2)
ポッキーの日、って。
そういやどこかで聞いたことある。
「え、ちょっ何この温度差」
金時は少し動揺している。
「何でよりによってポッキーなんだ?」
「………は…?」
追い討ちをかけるように問うと、首を傾けながらぱちぱちと瞬きをした。
「トッポだってプリッツだって棒状の菓子じゃねーか、何でよりによってポッキーなんだよ」
「……晋ちゃんって意外と菓子に詳しいのね…金さんも知らねーけどさ…」
そう言いながら、ジャケットから当然のようにポッキーの袋を取り出す金時。
「知らねーのかよ」
「知らねーけど。ね、晋ちゃんポッキーゲー…
「やりたきゃそんくらい調べてこいや」
「えええ!?いや何で!?」
「使えねーな」
「…………」
さっきムカついた仕返しにからかってやると、奴はしょぼんと落ち込んで唇を尖らせる。
「…ックク、」
「何よ、何か面白いのかよ」
「ああ、満足だ」
「俺何も満足できてないんだけどっ!!」
不服げに俺の頬をつかみキスをしてきた。
「っん!?」
突然の出来事に驚いていると、唇を離された俺の唇にはおもむろにポッキーを突っ込まれる。
さっきまで煙管の苦味におかされていた俺の咥内には、チョコレートの甘みが広がっていく。
「ダメなら強制的にでも、ね」
顎を持ち上げられて、その端を食われる。
部屋には俺とこいつの二人しかいないのに、お互いが声を出せない。
ので、静かな部屋にカリ、と香ばしい音だけが響いて、目の前の光景と相まってだんだんと恥ずかしさが増していく。
「………っ!」
赤い瞳が近づいてくる。
思わず目を閉じると唇にまた熱を感じた。
「ふぁ……んんぅ…」
舌を絡められて、水音をたて吸われる。
甘い味がした。
「……マジでやると思わなかったよ馬鹿野郎…」
「今日何人も客に迫られてさ?晋ちゃんとやりたくなってしょうがなかったんだ」
照れ臭そうに笑う金時。
また、何かイラっときた。
その頬を片手でガシリと掴んで睨み付ける。
「客とやったのかよ、ポッキーゲーム」
一瞬驚いたように目が見開かれたが、また嬉しそうに細められた。
「やってないよ、晋ちゃんだけ」
「………」
「疑り深いんだから、もう。」
そのまま頭を撫でられ、気を抜いたすきに抱きしめられて。
「美味しかったよ。この袋全部一緒に食べようね?」
チョコレートよりも甘い声で囁かれ、さらに強い力で抱き寄せられる。
もう俺の拒否権はなくなった。
「あと14本、かな」
その後は、もっと楽しいことをしようか。
その声に、俺はニヤリと笑った。
END
何か上手くまとまらなかった……
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