甘味とはろうぃん(2)
俺と銀時の声が重なった後、銀時が思い出したように俺の方を向いた。
「あ、ねぇ晋ちゃん晋ちゃんとりっくおあとりぃと。」
「あ?大福やったろ」
「それ銀さんのだから!結局銀さんのだから!」
「俺菓子なんか持ってねぇし」
「じゃあ悪戯するぞ」
「断る」
「いやいやいや!そういうイベントなーの!」
銀時がむしゃくしゃしたように言ったとき、ヅラの声が響いた。
「ふははははとったどぉぉぉぉ!」
「よかったのうヅラ!」
「ヅラじゃない桂だぁぁぁ!」
楽しそうだなおい。
「銀時、あっちに変なテンションの奴等いるからあっちで貰うか悪戯してこいよ」
「やだよ晋ちゃん以外に悪戯する気おきないし」
拗ねたように口を尖らせた銀時が俺の肩に頭を乗せてくる。
「何の悪戯するつもりだよ」
「んー…何がいーい?」
さわ、と尻に銀時の手がのびてきた。
「は、ちょさわんじゃねぇよ変態!」
「高杉男なんだし別に痛くも痒くもないでしょー?」
「そう、だけど、っあ!」
遠くでヅラと辰馬の声がする。
「ヅラァ、あっちで銀時と晋がイチャイチャしだしたぜよ」
「ヅラじゃない桂だ。そういうのは人目を避けてやりなさい!もう!」
「お前ら言ってねぇで助け、ひぁ…ん!」
着流しの中にまで冷たい手が入ってきた。
ちょっと待ててめぇ、このままいつもお決まりのパターンってか!?
「しーんちゃーんどこ見てんのー」
「わしらはお邪魔かの」
「そうだな、あっちで皆に菓子をねだってこよう」
そそくさと二人が出ていこうとする。
「あ、ヅラ俺の分も頼むわ」
銀時の声が、羞恥で回らなくなってきた頭に届いて。
もとはといえばヅラと銀時がこんなイベントにめざとく目つけたからじゃねぇか、何で俺がこんなめに……!
「待てお前ら、何で俺がっ…や、…ぎ、んときっ、ぁんっ」
「ではのぉ〜」
「ばいびー☆」
「てめぇら後で殺してやらぁぁぁあ」
「はいはい晋ちゃん大人しくしよーねー」
「あぁぁぁあ!!」
そのまま結局最後まで悪戯された。
いや、悪戯なんてもんじゃねぇだろ……
来年からは大量に菓子用意してやるからな、ばーか。
そう言うと返ってきた奴の言葉が、
「俺お菓子より晋ちゃんがいいなー」
俺にとって砂糖菓子よりも甘いものだった。
「あらら顔真っ赤だよ晋ちゃん」
「…だから、甘いもんは苦手なんだ」
END
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