その手が好きだ。
 自分の手とは違って大きな手。よく照れたように笑うその人によく似合う骨太の手だ。それで撫でられるとここにいてもいいんだという気になったし、自分が認められているような気がした。
 その目も好きだ。
 己のことを語るときには誰よりも厳しい目。そうして人を見るときは時に鋭く、それからやさしくなる目。その目で見られるのがとても幸せだと思う。その瞳の中にいる自分はとても幸福そうな顔をしてるのがよくわかるからだ。
「染岡くん」
 そっと名前を呼んだのは、だからつまり、こちらを見てほしくて、撫でてほしいからだ。



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