委員会見学《前編》




それは私が帰ってきて数日たった朝のことだった。小平太に起こされ文次郎も加わり三人で軽く鍛練をしたあと朝食に向かった。食堂では下級生にジロジロ見られたが(特に一年生とは面識がないため興味深そうに見られた)三人で席につきあとからきたみなで穏やかに朝食を食べる………はずだった。


「頼原先輩!おはようございます!」


『ん?』


「五年生か」


「あ、潮江先輩、七松先輩もおはようございます!」


「おう!おはよう!で、どうしたんだ?香月に何かようか?」


『竹谷か、久しぶりだな。おはよう。私に用とは?』


「実は…」


「おい!八!勝手に一人で先に行くなよ!俺の香月だぞ?おはよう、香月」


『ああ、おはよう兵助。他の五年生たちも久しぶりだな』


「おはようございます。先輩方」


「おはようございます!頼原先輩!お帰りなさーい」


『ただいま』


「…………」


『(……?三郎?)』



竹谷から声をかけられ兵助が飛び込んできてまた小平太とにらみ合いを始めちゃっかり私の横へと座る。後ろにいた他の五年生たちも声をかけてきたが三郎が私を見て黙り混んでいる。いったいどうしたのか気になるが竹谷が用があるみたいなので続きを促す。



『兵助のことは気にしなくて良いから。で、どうしたんだ?』


「あ、はい。帰ってきたばかりにこんなこと聞くのはあれなんですが先輩は委員会は決められましたか?」


『委員会?そういえば六年になってからはどこにも属していないな』


「でしたら是非!!生物委員会へ…「駄目だ!」は?」


「八!香月は火薬委員会に決まってるだろう!馬鹿なことを言うな」


「久々知、お前こそ何を言っている。香月は体育委員会だ!」


「七松先輩と香月は同じ組でしょう?同じ組は一緒の委員会にはなれないんです!」


「じゃあ中在家先輩も一緒のろ組だから図書委員会もダメか…」


「おい!ちょっ…!」


「ええー!頼原先輩は学級委員長委員会だよ!前もそうだったんだから!なあ三郎?」


「……ああ」


「しかし学級委員長はもう学期が始まってるから今年度は無理なんじゃないのか?」


「そんなの関係ありませーん」


「同じ組とかも関係ない!香月は私と一緒って決まってるんだ!」


「ダメです!俺も勘右衛門のときダメだったんですから!」


「そんなの私は知らん!」


「お、俺が最初に声をかけたのに…」


「八…」



私が口をはさむ暇もないくらいにみなが委員会のことで揉めだした。ここで他の六年がきたら更に面倒なことになりそうだ。


『お前たち。少し落ち着け。上級生が食堂で騒ぐな。下級生が迷惑するだろう?』


私がとりあえず落ち着かせようと声をかけたら周りの様子に気づいたのか皆押し黙った(小平太と兵助は睨みあっていたが)


「で?どうするんだ?会計委員会も歓迎するぞ?」


『お前まで参戦するな。ややこしくなる』


「香月は体育委員会だ!」


「火薬委員会です!」


「生物!」


「体育が良いなら図書も…」


「学級委員長委員会だよー」


『はあ…』



また騒がしくなってしまった。下級生がこっちを見て困っているだろう



「何を騒いでいるんだ?」


『仙蔵…』


しまった。六年生達がやってきてしまった。これだけ騒いでいれば目立つしな。
事の顛末を話すと仙蔵達も話にのってきた


「香月は作法委員会に決まってるだろう?見目が良いし作法むきだ」


「保険委員だって上級生が僕だけで人数不足で困ってるんだよー!入ってよー!」


「用具だって俺以外下級生で大変なんだ!……あっ、でも香月は…」


『図書委員会…』


最早収集のつかない状態になってしまった。どうしたものか…


『おい!お前たち、いい加減に…』


私がもう一度声をかけようとすると食堂に煙り玉が投げ込まれた。騒いでいる者たちは気付いていないようで私は被害を受ける前にその場を離れた



ボンッ!!




「「「「うわぁ!!」」」」



煙り玉が破裂し食堂が煙りに包まれみながむせ変える。投げた本人もむせているから解せない



「おえー!ふぇっ!ふえっ!」


『学園長先生…』


「ケホッ!いったいなにするんですか!!」


「ゲホッゲホッ!あー苦しかった。えっほん!何やらもめておるようじゃなあ?」


『ええ…まあ…』


煙の中から盛大にむせながら学園長先生が現れた。私たちの騒ぎを聞き付けてやってきたみたいだが嫌な予感しかしない(実際にニヤリと嫌な顔をしているし)



「うむ…。よし!決めたぞ!頼原香月の委員会見学を実施する!各委員会委員長、委員長代理は学園長庵に集まるように!」



やはり……そんな予感がしたんだよ…私は盛大に肩を落とすしかなかった


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