明日のお楽しみの段
後輩達からの視線をうけながら俺と昂兵先輩は学園長先生の庵を目指して歩いていた(文次郎はいつのまにかいなかった)
『それでね、入園式に間に合うように仕事終わらせて帰ろうと思ったらさぁ雇い主が帰してくれなくて。こっちに帰ってきてからの小遣い稼ぎにちょちょいと働いて逃げようと思ったのに、あれよあれよとゆーまになんと花魁にまでなっちゃってさぁ;いやー帰るに帰れない状態になってて;』
「お、花魁ですか;よくそこから帰してもらいましたね;とゆうより男だとバレなかったんですか?」
『全然バレなかったね〜僕背もわりかし大きいほうなんだけどね。男にしては細っこいからかな?』
「確かに先輩は細いですね。俺より背は高いけど筋肉は俺のほうがあるんじゃないですか?」
『馬鹿にすんなよ〜!筋肉は隠れているだけでちゃんとついてるの!君より力持ちだし。』
昂兵先輩は背こそ俺より頭一つ分くらい高いが細いし綺麗な顔をしてる。四年生のやつらといても霞まないくらい綺麗な顔だ。そのくせメチャクチャ怪力だ。昔から凄かったけど六年生の俺をヒョイと持ち上げてしまうんだから相変わらずらしい。
「そういえば先輩は海を渡ったら探したいものがあるっておっしゃってましたけど、見つかりましたか?」
『そう!その為に大嫌いな船に乗って海を渡ったんだよ。最初の一年は情報だけで全然見つからなかったんだけど二年たったころにようやくね!運命の出会いをはたしたんだよ〜』
「おめでとうございます。学園にいたころからの夢だと言っておられましたものね。」
『留ちゃんよく覚えてるね』
偉い偉いと頭を撫でられてしまった。どんなに成長してもこの人からしたらまだまだひよっ子なんだろうな
***************
話をしながら歩いていればあっという間に庵についた
『留ちゃんありがとう!多分学園長のことだから明日くらいに集会を開いてくれると思うからまたその時にヨロシクね〜』
「はい!わかりました。先輩も長旅でお疲れでしょうからゆっくりとお休みください」
『ほいほ〜い。ありがとっ。またね。』
庵の前で先輩と別れ、そういえば文次郎と喧嘩していた時に必死に止めてくれていた作兵衛を放置してきてしまったことを思い出した俺は急いで用具委員のみんなが待つところへ急いだ。
************
「作兵衛!」
先程まで潮江先輩と喧嘩をなさっていた食満先輩が顔を真っ青にしてこちらに走ってきていた
「すまない作兵衛!せっかく喧嘩を止めようとしてくれてたのに。あげくにほっていくなんて…」
「いえ!全然大丈夫です!一緒におられた方は大丈夫でしたか?」
「あぁ。昂兵先輩か。作兵衛達とは入れ替わりだったから知らないんだよな。俺たち六年生の三つ上なんだ。」
「そうだったんですか。先生になられるって言われてましたが…」
『俺も吃驚したよ。かなりマイペースな方でなイイ人なんだが先生ってイメージはなかったな。」
「あの変なことを聞くようですが、先程のかたは男…なんですか?」
俺がそう言った言葉に食満先輩がれっきとした男だと頷かれていた。ハッキリ言って見た目は遊女にしか見えなかった。遊女なんて俺は見たことねぇけどかなりの別嬪さんだった。(ちょっとドキドキした)だから男だとは信じられなかったし、正直信じたくなかった。
「はにゃ〜。そんなに綺麗な人だったんですか?僕も見たかったなぁ〜。」
「僕もー!」
「ぼ、僕も…。」
食満先輩と潮江先輩の戦いのときにいなかった一年坊主たちが食い付いてきた。
「大丈夫だ。多分学園長先生のことだから突然の集会に明日なるだろうからその時にお会いできるぞ。」
「そうなんですかぁ?」
「楽しみですー!」
「よーし!先輩の話はここまでにして用具委員会始めるぞー!」
食満先輩の言葉に俺たちは雑談をやめ用具委員会の活動を始めた。先生ってどの学年のどんな教科担任になるんだろうか?
そんなことを考えながら少し明日が楽しみになっていた俺がいた。
―――――――――
このまま集会にいこうかと思ったけど区切ってみました。
[3/6]
←→