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来栖翔side
入学式も終わり教室に行きこれから憧れの日向先生に教えてもらえると俺の心臓はドキドキしていた
クラスには結構な人数が座っておりどこか空いてるところはないかとキョロキョロすれば一番後ろの窓から二番目が空いていた
「(一番後ろが空いてるとかラッキー!ってか隣のやつ寝てる?)」
椅子に腰掛け周りを見渡して見れば隣のやつが寝ているのに気付いた
入学早々寝るとかやる気あんのか?
少し眉をひそめて眺めて入れば日向先生が入ってきて
「よーし!お前ら座れーまぁ知ってると思うが俺の名前は日向龍也だ。お前らSクラスの担任になった一年間よろしくな」
やっぱ生は格好いいな!憧れる!絶対日向先生のようなアイドルになってやる!
俺が意気込んでるあいだに自己紹介が始まりレンのやつがこっ恥ずかしい自己紹介をしてクラスの女子がキャーキャー言ってる
隣の席のやつも制服から見て女子だが周りの騒音も物ともしないで寝てる
ある意味すげぇやつだな
それからそいつは俺が自己紹介で空手を披露する時も寝てやがった
そして隣のやつ以外の全員が自己紹介を終えて日向先生が「柳沢ー!」と呼ぶがピクリともしない。俺は慌ててそいつを揺さぶって起こしにかかった
「おい!おい!」
『ん〜?』
「起きろって!お前だけだぞ!自己紹介してねぇの!日向先生めっちゃ睨んでるぞ!」
『あー………』
「柳沢!柳沢六花!さっさと自己紹介しろ!ってか入学早々寝てんじゃねぇ!」
ようやく顔をあげたそいつは前髪を顔の半分まで伸ばしていて瞳が見えない。変なやつだなと思っていたすっげぇ面倒臭そうな空気を出しながら立ち上がり自己紹介しだした。ってか…
「デケェ…」
思わず口に出してしまったが本当にでかかった。那月くらいあるんじゃないのか?男ならそれくらいあっても普通かもしれないが女では規格外のでかさだった
『えーっと、名前は柳沢六花、年は15歳で〜す。あと作曲家コース、よろしく』
えらくあっさりした挨拶で終わろうとしたのを先生が呼び止め得意楽器を言えと言われ
『えぇ…煩いしぃ、得意楽器はピアノ、まぁ何でも弾けるけど…ああ、これもよく聞かれるから言っとくけど身長は185センチ。女にしてはでかいみたいだねぇ。そんなとこで良いですか?』
185…俺と20センチ以上も違うじゃねぇか…!ブツブツと呟いていたら今度こそもう良いだろうと座ろうとした柳沢を先生がまた止め最後だから何か特技をやって終わりだと言われた柳沢は面倒臭いから嫌だと言った。おまっ!日向先生にさっきからなんて口の聞き方するんだ!そう思いお前が寝てるのがわりぃんじゃねーか!とつい叫んでしまうとすっと此方に視線をよこし(目は見えないが)はぁと溜め息をつきなんでもいい?と聞いてから懐から楽器を取り出した
「ハーモニカ…?」
何故得意なピアノじゃなくてハーモニカなのか周りもザワザワしだしたが先生の注意で静かになった。多分だがこの数十分の間でこいつのことを言動などを含め観察した結果ただたんに前に行くのが面倒だったに違いない(後々俺のこの時の勘は間違ってなかったとこいつと付き合っていくうちに思い知らされる)
先生に吹いてみろと言われはーいと気の抜けたような返事をしたこいつがどんな演奏をするのか期待半分呆れ半分でいた
柳沢が吹き終わりふぅという柳沢の息だけが聞こえクラスはシーンとしていた
すげぇ…!
マジですげぇ!鳥肌たった!
切なくてハーモニカ一つでこんな音が曲が奏でられるなんて
聞いたことのない曲だったからきっとこいつの作曲したやつだ。こんなに凄い曲が作れるなんて…!
これでいい?
柳沢の一言でクラス中にがワッとなり拍手が巻きおこった
本当にすげぇ
こいつの作った曲が唄いたい。俺は心からそう思った
が、この時の俺はまだ知らなかった。こいつに長い間振り回されることになるなんてのは
2013926編集
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