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≫ Friends グン→ナキ




「なーナキ」



「あーなんだ?」

コタケに構い出してからは俺に余り構わなくなったナキを呼べば、やはりコタケに構うのが忙しいのか睨みつけるようにこちらを向いてくるようになった。
昔もそんなことあったけど、コタケが来てから尚更そうなった気がする。

「そーんな怖い顔して睨むなって、質問しようとしただけだろー?」
「質問だぁ?だったら早く言え」

俺の相手をするのさえめんどくさいんだろう、急かされて苦笑いをしてしまう。
大体、質問の答えなんか分かりきってるけど。

「…お前がもし選ぶなら、コタケと俺、どっちを選ぶ?」
「なんだそりゃ」
「いいから」

どちらかだけ、となれば迷わずコタケを選ぶだろう。
けれど微かな希望を抱いて聞いてみた。
…だけど、希望は希望だけで現実にはならなかったらしい。

「そりゃあコタケに決まってんだろ」

さも当たり前とでも言うように言われて、ずきりと胸が痛むのが分かった。
けどそれは顔には出さない。理由が分かっているからだ。

「…まぁだろうな。俺もナキよりコタケを選ぶし?」

強がって吐いた威勢も己には悲しいものにしか聞こえなかった。
泣き顔になってないだろうか。しっかり笑えてたら良いんだけど。

…200年も前から片思いをしてきた。
両思いなんてとうの昔に諦めたけれど。

ナキの為なら望まずとも何でもしよう。


枯れた芽に水をやっても花が咲く事はない。



≫ HTF 英覚

初めて、俺を認めてくれた。
嫌われ物、そんな俺。いつも暴力を振るって、色々な奴を殺しまくって。血に塗れる事を快感として。
……そんな俺を、自称英雄のアイツは、認めてくれた。
この世に存在して良いと、居場所をくれた。
最初は嫌なその場所も、どんどん恋しくなった。
気がつけば、俺は殺しをしなくなった。皆も恐れず親しくしてくれて。片割れも認めてくれて、幸せだった。だけど……

「なん、で……」
目の前は真っ赤で、皆の、アイツの死体がそこらじゅうに散らばって。
俺が、殺したんじゃない。俺もかなりの重症だし。
ならば、原因は目の前に居る、長身のこの男……。
一体どうしたのか、視界がハッキリしてないのかふらふらとしている。けれど、その男は確実にこちらに刃物の先を向けてきて。
力を振り絞り、避けた。そしてそいつが落とした刃物でそいつを殺す。
生々しい音と、そいつの悲鳴。そして血飛沫。けど嬉しくない…むしろ悲しい、罪悪感。
なぜか、それは人からもらう愛を知ってしまったから。
横たわるアイツを見る。死んでるけれど、表情は綺麗で。何度か見たアイツの寝顔にしか見えなくて笑えた。
横へ移動して、寝転がる。疲れた。目眩もする。血が沢山出たからだろう。頑張れば一命は取り留めれるだろうけど、もういい。
皆がいない世界なんて。特に、コイツが居なければ、俺の世界は輝かない。見ていても楽しくない。
一人でこんな世界はいたくない。
そっと、俺の手を上からかさねて。
息をするのが苦しい。生きたいと願うと、いつも苦しくなるばかりだった。
けど、今はどうだ。諦めれば、こんなにも簡単に逝けるのか。
もうだめだ、瞼が重たい。

「……愛してたぜ、スプレンデッド」

今度はこんな狂った世界じゃなく、皆が幸せに暮らせる世界で。
出来たら、コイツの傍で普通に笑って過ごせる場所で。
それまでは皆と、さよなら。






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