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カトレア

75 雷門中vs白恋中




「まさか君が吹雪 士朗君だったとはね……」

 白恋中に無事着き、現れた吹雪君は先程別れたばかりのスノボ少年だった。驚くアタシ達に吹雪君は苦笑をしながら手を差し伸べて来る(今までもこんな事が多々あったらしい)
 アタシもそれに手を重ねて握手をすると、宜しくね。と嬉しそうに笑ってくれた。
 飛びだして行った染岡を吹雪君に謝りながら、アタシ達はグラウンドへ向かう。

「僕もまさか君が、雷門中の飛鳥さんだったとは思わなかったよ」
「うん、確かに見えないかもねー」

 お互い笑いながら階段を下りていると突然、屋根に積もった雪が凄い勢いで落ちてきた。此方には雪は来なかったけど、凄い光景だな。と思いながら隣に視線を向ければ、吹雪君が怯えたように蹲っている。

「だ、大丈夫、吹雪君?」

 アタシもしゃがみ込むと彼の背中をさすった。苦しそうに呻く吹雪君の姿にアタシはどうしていいのか分からなくて、思わず彼の頭を撫でてしまった。

「あの、ね……屋根の雪が落ちてきただけだから、」

 だから、大丈夫だよ。と噛みながらぎこちなくアタシは微笑みかける。そうすると彼も顔を上げ、安心した様に小さく息を付いた。
 漸く落ち着いた吹雪君にアタシは安堵すると、彼に手を差し伸べて起き上らせてあげる。

「ごめんね、飛鳥さん」
「いいよ、気にしないで」

 それより吹雪君が元気になって良かった。と微笑めば吹雪君は恥ずかしそうに頬を染めて、首に巻いていたマフラーで顔半分を隠してしまった。


***


 吹雪君の実力を見る為、雷門中と白恋中で練習試合をする事になった。監督の指示も特に無く、アタシは染岡とFWを組むことになる

「何っ?!」
「あれ、吹雪君ってFWじゃなかったっけ?」

 吹雪君がDFにいることに染岡が怒りだすのを抑えながら、アタシは近くに居た相手FWの喜多海君に聞く。
 そうすると喜多海君は、吹雪君は確かにFWだけど今はまだDFらしい。

(……アタシと同じユーリティプレイヤーって事かな?)

 未だに怒っている染岡を軽く蹴り、試合開始のホイッスルが鳴ったのでアタシはボールを蹴りだした。染岡にパスを回す。

「どけー!!」
「染岡、落ちつけよっ」

 アタシの声も無視してそのまま染岡は強引にDF陣を抜けると、吹雪君の元へ向かって行く。吹雪君はというと余裕の笑みを浮かべDF技、アイス・グランドを出した。
 ボールは奪われるが直ぐにパスを風丸がカットし、再び染岡にパスが回った。すぐさま吹雪君がGK前に立ちふさがる。その姿に染岡は眉を寄せ、ドラゴン・クラッシュをだした。
 しかし吹雪君はそれさえも防いで見せると、突然雰囲気が変わる。好戦的な性格になった吹雪君は力強いプレーで次々と雷門のDFを突破し、必殺技、エターナル・ブリザードをだした。守のゴッド・ハンドを破り、白恋中が先制点をとる。

「へぇ……面白いじゃん、吹雪君って」
「珍しいな、飛鳥が興味を示すなんて」

 鬼道君にそう言われアタシは小さく笑う。不意に吹雪君と目が合い、ニヤリと笑われた。
 まるでお前も打ってこいよ、と言ってくる様なその表情にアタシもゾクゾクと鳥肌が立った。


―――
吹雪君の作ったサッカーボール型のお餅食べたい。

2009/11/02


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