イナズマ | ナノ

カトレア

74 アナザー01




 昨日、東京から豪炎寺 修也という奴が鬼瓦の親っさんに連れられて沖縄にやって来た。
 ……そいつはあのフットボールフロンティアで優勝した雷門中サッカー部のメンバーだった事と、テレビで見ていた限りだと凄い迫力のある奴だったから俺も最初は身構えていたのだが……実際会ってみると全然違かった。(覇気の無いその姿に、俺は一瞬目を疑ったくらいだ)

 エイリアに妹さんを人質に取られているから、こいつを暫く預かってほしい。

 そう親っさんから聞いた時は流石に驚いたが、一通りの話を聞いて俺はこいつを居候させる事に決めた。まぁ、兄弟も多いし問題は無いからな。(何より、兄弟を大切にする奴に悪い奴はいない!と言ったら親っさんに笑われた)
 ……とまぁ、こんな感じで昨日から俺の家にいる豪炎寺だが、今は下手に外を歩き回ることも出来ないので1人庭で考えている事が多い。
 元気もなく只黙ってサッカーボールを見つめるか、携帯電話を見つめているばかり。

 携帯画面を見つめる豪炎寺に何が写ってるんだ、と問えば少し迷った挙句、画面を見してくれた。
 ――そこに写っていたのは豪炎寺と妹さんと優しげに笑う茶髪の女子。
 確かテレビで、雷門イレブンのメンバーに居た気がするな……、と思い考えていると、雷のストライカー、雷鳥 飛鳥だと豪炎寺が教えてくれた。(俺の妹が憧れてる選手だ)

 雷鳥の事は俺もよくテレビで見ていたので、言われてみて漸く合致が着いた。フットボールフロンティアの試合中継でも、よく豪炎寺とタッグを組んでいた記憶がある。
 豪炎寺曰く、雷鳥は幼馴染らしい。
 豪炎寺といい、幼馴染といい、なんでお前らはそんなに凄いストライカー揃いなんだ。とぶつくさ言えば初めてアイツが小さく笑っていた。

 ――画面に映る雷鳥を見る豪炎寺はいつも優しげで、寂しそうな表情を浮かべている。……辛そうに自身の襟元を強く握りしめたアイツの表情が酷く印象に残った。


―――
土方良い奴なのに、あんまり出番ないから書きました。
まだ続くかも(笑)

2009/11/02


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