世界にさよならを | ナノ


剣を見つけたロッカーを捜索すると、いつも出かけるときに持ち歩いていた斜めがけのボストンバックが見つかった

よかった…!やっとまともな物見つけた!
中身は…財布にお気に入りのガム、絆創膏や薬・包帯などの簡易的な救急セット、メモ帳、ボールペン…
バックにはいつも入れていたものだけで他のアイテムや一番入っていそうな携帯電話は入っていなかった
少し肩を落としながらも、幾らかの収穫に何もないよりはマシか…と気持ちを切り替える

とりあえず、今の状況を整理しよう

目が覚めたら見慣れぬ廃校舎の中
廃校舎には見たことのないバケモノ
自分の所持品はバック・謎の紙。古ぼけた剣
ちなみに服装は黒のTシャツにクリーム色のパーカー、ジャージの半ズボンにレギンス、シューズ
ご丁寧にいつもの運動スタイルにしてくれて…
いつまでもここに居座ったって脱出出来るわけでもないし

意を決してカバンをかけ直し、剣を握りしめて教室の扉に手をかける
開ける前にそっと耳をつけ、廊下の様子を伺う

____音は何もしない…いくしかない、か
音を立てないように扉をあけてそっと左右の廊下の様子を見る
右よし…左よし…右よし…どっちへ行くか…

見たところ片側に教室が5部屋、もう片側は窓で窓からは向かい合わせるように反対の校舎が見える
右側に教室が4部屋、つまりここは5部屋目
プレートを見上げると「3―5」ということは3学年あるうちの一番上?ならここは3階建ての一番上か…
窓から校舎下を見下ろすと3階分の高さがあり、コ
の字型に教室ができているのがわかる
この字の真ん中には中庭があり、水は出ていないが噴水と花壇や少し運動ができそうなスペースがあった
左側を見てみると反対側の校舎に続く廊下と下へ続く階段がある
廊下は2部屋ほど教室があるのがわかるが、暗くてプレートまでは見えなかった

とりあえず安全そうな教室の捜索から始めるか…
剣を握りしめて構えながら、音を立てぬよう右側に進む
余談だが、花子は高校まで剣道を習っていた
大学に行ってからはさっぱり竹刀すら触れていないがら何もしないよりはマシである
まあ、バケモノに剣道が通じるかは謎だが…
最大限警戒して進んだが、殆どの教室に鍵がかかっており開かず、1部屋だけ開いていたが机も椅子もロッカーもなく、やけに小奇麗な教室があるだけだった
その先には薄暗い屋上と2階への階段が伸びていたが、屋上側は椅子や机で塞いであり、2階へはまだおりる気はせず左側の廊下へと戻る

こんなにも何も出ないのもなんか拍子抜けだなー…
もともと楽観的な性格だが、他の人やバケモノさえも現れないこの状況にだんだん緊張感の薄れてきた花子は剣を再び構えながら廊下に踏み出す

____っきゃああああ…ああっ!!___
___っ  やく…!こっ_だっ…!___

突然聞こえた悲鳴と足音に硬直し、剣を高く構える
緊張で唇を噛み締めながら、仄暗い廊下に目を凝らすと奥から数名の人がバタバタと走ってくるのが見えた

「黒子っ!早くしろ!」
「はっ‥…これがっ最速ですっ…!」
「テツくんっ…!!」
「桃井、前を見ろ!走れ……ッ!?」


(暗闇の先に見えたのは)(鮮やかな赤)
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