世界にさよならを | ナノ


「い、今のは…?」

花子の言葉に場の雰囲気は戻ったものの、困惑気味に小金井が声を上げる

「やっぱこれ、現実じゃありえねーだろ?!」
「せやなー、今のはちょっと説明つかへんな…」
「…可能性として視野にはいれていましたが、もしかしたらここは俺たちが普段いる場所とは全く違う、異世界や異次元の世界であるのかもしれません」

赤司の静まり返る
誰もが少しは考えた可能性
だが、ありえないと打ち消してきたものだった
さすが赤司、鋭いし冷静だ…

「い、いみわかんないッスよ!異世界とか…」
「赤司、それは流石に突飛すぎでないのか?」

黄瀬や緑間が声を上げる中、黒子が燃え尽きて黒く変色した紙に近づき拾い上げる
そして花子の目の前まで近づき見上げた
肌白いし、私よりちっちゃいし…ほんとに儚げ少年だなー。これはいろんな設定ついちゃうよなー…

「名無しのさん、大丈夫ですか?」
「(えっ頭が?!)あ、手は大丈夫!大してひどくないよ」

思考を読まれたかとあせったが、黒子の目線が手に向いているのをみて火傷をした手をヒラヒラと振り笑顔で答える
それを見た黒子は「よかったです。これ…」と言って紙を花子に手渡した

「ここが異世界かどうかはまだわかりません。ですが名無しのさんの言うとおり、あの化け物を倒さなければ脱出も、火神くんや青峰くんたちの救出もできなそうです」
「いやもしかしたら、皆が悪い夢でも見てて夢オチ、ってこともあるかもッスよ?!」
「ふはっ‥そんな可能性考えるよりなら、今ある手がかり探すほうが建設的だろうが」
「花宮さんの意見に賛成だ、とりあえずこの暗号を解こう。さっきのこともあるから紙は真ん中に集めよう」

花子からまた輪の方に向き直り話し出した黒子に対し、皆も無理矢理でも納得したのか赤司の言葉で紙が集められた

「名無しのさん、皆の暗号を書き留めて貰えませんか?」

赤司の声に頷き、中心に集まる髪の内容を書き留めていく
その間に各自が自分の暗号を頭を悩ませながら解く

「よくわかんねえから数字の暗号は置いておいて、アルファベットの方を解こうぜ」
「アルファベットのはワシ、氷室、黒子、黄瀬、桃井やな?」
「じゃあ俺から。暗号は『ORMKLXVMHIV』で鍵は4歩って事は…KNIGHTRIDERでナイトライダー、かな?」

氷室の言葉で中心にあった紙から炎があがり、文字が浮かび上がる

「『汝、ナイトライダー  閃光の如く、敵を打ち砕く者』…だって」
「だって、って…お前武器は?」
「教室とか探索しなかったんで…」
「まあ、お前なら武器なくてもいけるべ…」

福井の問いかけにハンズアップをして首を降る氷室に、ゲンナリとしながら福井が答える
反応がアメリカン…!さすが帰国子女…エレヤンは健在らしい

「じゃあ次は私が…暗号は『TQUG』で2歩…R.O.S.Eだからローズ?」

桃井の言葉に紙から炎が上がる
それに驚いて隣に座っていた花子の腕にしがみつく
う、腕に柔らかい何かが…!
桃井の手を優しく握りながら花子がまた関係ないことを考えて書き留めている横で、桃井は恐る恐る紙の文字を読み上げる

「…『汝、ローズ  聖地であり、慈しむ者』…?」
「桃井、武器はあるんか?」
「いえ、探索していなかったので…」

すみません…と口籠るさつきに慰めるように少し手を強く握る
こちらを見るさつきに、声に出さず「だいじょうぶ!」と言うと、さつきは顔を少し綻ばせ頷く
か、かわええ…!!

「じゃあ次は僕が。暗号は『NEG』で6歩だから…H...Y...Aでヒャー、ですかね?」

黒子の言葉でまた一つの紙から炎があがる

「『汝、ヒャー  異端を退ける者』だそうです」
「黒子も武器はないのか?」
「はい、目覚めたあと直ぐに悲鳴が聞こえて教室を飛び出したので…」

木吉の問いかけに黒子が答える
その横で黄瀬が唸りながら暗号を睨みつけていた

「ええーと?一つのアルファベット動かすんスよね?だから、KはJで…Pはーっと…あ、Oだ!んでLはー…?」
「ったく一つ動かすだけだろーが…」
「う、うるせーッス!戻すのがややこしいんすよ!」
「つべこべいってねぇでさっさとしろ!」
「った!!痛いっすよ〜笠松先輩〜っ!ええーと…Lは…Kで、FはーEだ!Sはー…Rだから!えっと…?」
「…まさか黄瀬くん、先のやつ忘れて…?」
「ハハ…なんでしたっけ…?」
「っこの万年赤点野郎が〜!!」
「あ、あのメモしてるのあるから…」

ゲス宮、もとい花宮に貶され、笠松にしばかれながらやっと解読した黄瀬だったが、黒子の言葉で渇いた笑いを返す
さすがキセキの世代二大アホ…!
内心めっちゃ貶しながらも黄瀬がといた暗号を書いたメモを見せる
そのメモをチラリと見ると、無愛想に「…どうも」と返す黄瀬
おいおい警戒心マックスか…デルモ(笑)が聞いて呆れる無愛想さだよ…
笠松と戯れる(しばかれる)黄瀬を見ながら花子は引き攣りそうに頬を表情筋で何とか抑えメモをとり続ける

「えーと!暗号はジョーカーッスね!」

黄瀬の言葉に紙が燃えもじが浮かび上がる

「『汝、ジョーカー  仲間を助け、化かす者』…?助けるのはわかるッスけど、化かすって?」
「黄瀬!!お前の短剣、光ってるのだよ…!」
「ええ?!うわぁああ!」

皆が緑間の声で注目する中、黄瀬の持つ短剣は先ほどの花子の剣のように黄瀬の持つところから白く光を放ちながら変色し、腰につけるベルトまで細かく装飾のされた短剣に姿を変えた

「な、なんか改めて見るとスゲー光景ッスね…」
「やはり暗号を解くとアイテムの使用が可能になるらしいな」

赤司の納得したような声に続き、残りの今吉も暗号を解読して武器を開放した
あっという間に…さすが妖怪サトリ、黄瀬くんの半分くらいの時間で解けてるし…
今吉はグラスホッパーで『すり抜ける者』
今吉の持っていたダガーナイフも白く短剣よりも小ぶりでシンプルな装飾が浮かび上がる
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長いのでまた切ります
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