別のジャンルの二次文章 | ナノ

ちょっと付き合え[キンゲ/ゲイン→ゲイナー]



しっかりとしたオチはなし。

後半、ゲイナーに対して異様に不器用なゲインが書きたかったけど無理でした。

ちょっと修正しました



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格納庫に人探しになんて来たのが間違いだったのだ。

「おお、ちょうどいい所に。ちょっと付き合え、ゲイナー」
「や、です」

ゲイナーはたった今、出会ったばかりのその爽やかな笑顔に心の底からがっかりした。
ゲインである。

「要件を聞く前から拒否するなよ」
「なんですかその“ちょうどいい所”にってのは」
「まぁ気にするな」

ポンと両手をゲイナーの肩に置いて、「細かい男は嫌われるぞ青少年」と付け足した。
「よっ…」

“嫌われる”の、キーワードで、背中を向けて行ってしまうサラの姿が脳裏に浮かんで、ゲイナーは頭を振った。

「余計なお世話です!」

どうにも一言余計なのだ。
わざとなのか。
ゲインは一人楽しそうにしていた。

「まぁそういうことだから、付き合え」
「嫌ですよ。貴方に関わるともう本当にロクな事が無いんだから!」
「キングゲイナーで一走りすりゃあっちゅー間だ、直ぐに終わる」
「私情でオーバーマン動かす気ですか?」「私情?」

…私情っていうか?

「何にしたってお断りです」
「連れないな…この間、愛を誓いあった仲じゃないか」

あの時の愛らしいキャサリンは何処へいってしまったんだい?


「ぶっ…」

その愛しの恋人を思い、悩める青年ブカレスのセリフとは思えない。
口がすでに笑っていた。
なんていやらしい笑顔なんだろう。

「ばっ…馬鹿なこと言って!」
「顔が赤いぞ?キャサリン」
「誓いあってなんかいません!」

そもそもキャサリンとか意味わからないし!

「“キャサリン”は嫌だったか?」
「そういう問題じゃないでしょう!そもそも今は名前の話をしてる訳じゃ…」
「ならメアリーとかどうだ?」
「だからっ!」
「ゲイナー」
「っ!」

次の瞬間、ゲインはずいと一歩前に出てきて、反射的に退いたゲイナーの腕を掴んだ。
その顔から笑顔が消える。

「な…なんですか、」

17歳の青少年にしては、若干細身で華奢なゲイナーの腕。
ゲインはまじまじと眺めて、

「もう少し鍛えた方が良いな、お前さんは」

掴む指先に力を込める。

「痛っ…」
「それから…」

戸惑うゲイナーが苦し気に声をあげる。

(それから?)

なに?


(なんだ…?)

「ゲインさ…」

構わず、ゲインは掴むゲイナーの腕を引き寄せ、そして
その顎を―

ビィイイイイ――――ッ

「っ!?」

次の瞬間、格納庫に警報音が鳴り響いた。
はっと二人、我に返る。

(いかん。ちと悪乗りしすぎたか…)


『ゲインさん!いま何処ですか!ゲイナーは?ゲイナーは!?』

ゲインの耳当てから、勢いよく聞こえたベローの悲鳴に近い叫び声。
バッチリとゲイナーにも聞こえたのだ。

「な…なに?」

ポカンと口を開いて問いかける。

「シベ鉄だ。二時の方向から二体来てる」
「ちょっ…敵襲?!なんでそれ早く言わないんですか!」
「云わせなかったのはお前だろう」
「あんたがまどろっこしい言い方するからでしょ!」
「聞く耳すら、持たなかったじゃないか」
「さっ…最初から、一言シベ鉄が来てると言ってくれれば、ちゃんと聞きましたよ!僕は!」

全くもう!

酷い悪態をついて、ゲイナーは掴まれていた腕を引き払う。
そしてゲインの脇をすり抜けて走り出した。

「ちょっとなにやってるんですかゲインさん!行きますよ!」
「俺に付き合うのは嫌だったんじゃないのか」
「嫌ですよ」


即答、とかもう

しかも「当然です」と、さりげなく毒性の強いトドメの一言を付け足して。

「でもシベ鉄は相手をするのは僕とキングゲイナーの務めですから」

ゲイナーはそう言って、ゲインをおいてさっさと言ってしまった。

「…務め、ねぇ」

『ゲインさん!ああもうゲインさん返事してェー!』

間もなくベローが再び叫んで、

「俺よかシベ鉄のが良いってか…」
『はいー?』
「…なんでもない」

(…なにやってるんだろうな、本当に)

思わず呟いたゲインは、どうにも解せない蟠りを懐に抱えたまま、ゲイナーの後を追った。




*******


以下オマケ

「ゲインさん、今日は元気ありませんね?」
「…そう見えますか?アナ姫」
「私で良ければ相談にのりますよ?」
「ではお言葉に甘えて。愛しのキャサリンにフラれました」
「まぁ!」
「どうにもわかって貰えんのです」
「ゲインさん、強引に迫ったりしませんでしたか?」
(迫っ…たか?ああ、迫ったかも?)
「だめですよ!チョメ!」
「はぁ…」
「何事も焦ってはいけません」
「そう…ですね」
「でも大丈夫です。ちゃんと誠意を込めてお伝えすれば届きます」
「そうでしょうか?」
「もちろんですよ!」


*****
17歳男子にフラれ、3歳女児に諭される27歳独身男…と書くとあまりにゲインが不甲斐ないように見えてしまう。ちがうアナ姫が優秀なんだ。
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