ここに_れば、__が_るような気がした[サガフロ2/ナルセスとウィル・ナイツ]
内容に時間的な設定はしていないのですが二人付き合いは長いです、でもウィルは独身ですそれくらい。
そりゃそうとウィルてお酒飲める子なんですかね。ゲコだと可愛いよね。でも強そうにもみえるよね。どうなんだろうね。まぁいいかという感じ
モブに酒場の店主が喋ります。
残念ながらオチが解りづらい感じです。
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冒険者達が遺跡調査をする為の同士と、その出会いを求め自然に集まるいつもの酒場。
日が傾き始めたこれからの時間は、遺跡から帰って来た冒険者や仕事を終えた者達の寛ぎの場所となり、酒を交わしあい大いに賑わう。
ウィルは一人扉を開いて酒場に入ると、迷わずバーカウンターまでやって来て唯一カウンターに一人座っていたその者の隣に着いた。
ナルセスだ。
「こんばんは、ナルセスさん」
お一人ですか?と一言添える。
次いでといっては何だが、店主に「この人が飲んでいるものと同じものをください」とだけ一声かけた。
「お前こそ、こんな時間に遺跡探索か?酔狂だな、ウィル」
私は行かないからな、と付け足してわざと煽るような、トゲのある言い方でナルセスは問いかけた。
このナルセスの物言いはいつも通りだ。
「違いますよ。今、お酒頼んだじゃないですか」
やだなぁと苦笑して、ウィルは首を左右に振るった。
まもなく店主からグラスを受け取り小さく会釈する。
(…こいつが酒を頼むのは初めて見るな)
ナルセスはそのやり取りを遠目に眺めた。
(というか、一人でこんな時間に来ること自体初めてじゃないか?)
ウィルが受け止ったグラスに入っていたのは血のような真っ赤な酒だった。
(わぁ、強そうだな…飲めるかな?)
などと思いながら、揺らぐ氷を眺める。
「今日はどうした?こんな時間に珍しいな」
「…貴方が居ると、思ったから」
カランとグラスの中で氷が澄んだ音を発てた。
「ここに来れば、必ず貴方に会える気がしたんです。だから…」
グラスを煽るナルセスの腕がピタリと止まる。
(…)
ウィルを一見してから、グラスに視線を落とすと、再びウィルを振り返った。
(これは…何の冗談か?)
中の溶けかけた氷を揺らし再び煽ると、ナルセスは眉間にシワを寄せ、ウィルに問いかけた。
「そんなに…」
「!」
(いや、冗談にしては笑えん)
「そんなに毎日のように、ただ意味もなく酒場に入り浸っているように見えるのか?私が」
ウィルは目を見開き、あわてて首を左右に振るった。
「あっいえ、そういう意味じゃなくて……えと…。ごめんなさい」
(まぁ、冗談なんだがな)
とは口に出しては言わない。
面白がる気は無いが何となく、だ。
もちろんナルセス自身、毒づく事に特には理由も無い。
それゆえに余計に質が悪い。
案の定ウィルは困惑した。
(愚直だな、ウィル)
彼の性格はある程把握していたつもりのウィルだったが、今の会話の流れでそんな屈折した返答が飛び出ようとは思わなかったのだ。
「僕が来ると貴方は何時もこのカウンターに居るから、この酒場なら貴方に会える。だから、それはもしかして…って」
誤解を解こうと必死になっていたのか、声が少し大きく、早口になった。
珍しく動揺していた。
(それは…もしかして…?)
しかし途中で言葉を濁し、視線を落とすとそれ以上は語るのをやめてしまった。
「…」
(同じように、僕に会いに来てくれているんじゃないかって…?)
「ウィル?」
(そんなの…、聞けるわけがない)
そう、こんな質問を投げ掛ける事こそ実に酔狂な話だと…水面下でウィルは自ら肯定する。
「あはは…ナルセスさん結構つよいお酒飲んでるんですね」
適当な言葉でなんとか自然を振る舞う。苦笑いとともに返した。
しかしらしくない切り方で話を逸らした事に、ウィルは間もなく羞恥心に煽られて懐あたりが苦しくなる。
「そうか?」
「はい…ちょっとだけ酔ってしまいました」
さらに誤魔化して笑った。
だがその次の瞬間、ウィルはこくりと頷くように床に頭を垂らすとそのままナルセスの方へ倒れ込んだ。
(あれ…視界が…)
なんだか揺らいで?
「…ウィル?」
「…」
「弱かったのか、」
意識を落としてしまったウィルの体重が直にナルセスの肩にのし掛かる。
「その子大丈夫かい?」
カウンターの向こうから、ナルセスに店主が問いかける。
「フン、この程度で落ちるなんて」
まだまだ鍛練が足りない
と、ナルセスは毒づいた。
(全く、なにがちょっとだけ、だ)
倒れ込んできたウィルをそのままに、ナルセスはグラスを煽ると再び眉間にシワを寄せた。あからさまに不満そうな顔をする。
『ここに来れば、必ず貴方に会える気がしたんです』
ウィルの言葉を思い出す。
(…あの一瞬、)
一度グラスを煽り溶けて一回り小さくなった氷を眺めた。
(…見透かされたような気がした)
「全く…」
グラスを置いて舌打ちをかわすと、酷い悪態をついた。
「しょうもないな」
「…」
肩に凭れかかっていたウィルがズルズルとバランス崩してを床に向かって崩れ落ちる。
ナルセスはようやくその身体に手を伸ばし、受け止めた。
(本当に…)
酔いが回って耳まで赤いウィルの顔を見下ろすと、満更でも無さそうに苦笑して、そして呟いた。
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(ここに居れば、お前が来るような気がした)
(ここに来れば、貴方が居るような気がした)
続くかもしれないし続かないかもしれないし
半年前に打ち込んでいたようなんですが、当時の自分がこれをどうしたかったのか、忘れてしまいました。
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