別のジャンルの二次文章 | ナノ

心蝕[ブレイブリーデフォルト/リングアベル×ティズ]



時期的に三章あたり

ティズさんが夜な夜な眠れてなくてってフラグの延長みたいな…

眠れてなくて魘されている…というかなんか、病的な発作みたいな感じになってます。

なのでひたすら重たいです。
ごめんなさい
勇敢で天然のイケメンでアニエスまっしぐらなティズが好きな方は見なかったことにしてお帰りください。
タイトルに×とかついてるけどそんなドリーミーでラブリーな展開とかは全くないです。
悪夢×ティズのほうがしっくりくるかなぁ…むむ



******




迫り狂う轟音とうねり上がる大地。
巻き上がる暴風と、底から突き上がるような激しい地響き。
それはほんの一瞬だった。
あの日、ノルエンデ村は文字通り壊滅した。
何もかも舞い上げられては、現れた“穴”に成す術なく呑み込まれていった。

『ティル!』

事態を呑み込むことすらままならないうちに、今にも崩れてしまいそうな崖の上。
崩れかけの崖の上、ただ足掻くことも出来ず掴んでいたその手を…

たった一つ、そう…
せめてこの一つだけでも

(離さないと、誓ったのに)

『…あ…く…』

暴風も地鳴りも、その勢力は一向に衰える気配がなかった。
ティズが痺れる腕に限界を感じた刹那、ガクンと地面に衝撃が走った。
振動とともにバランスを崩して、足場に気を取られたその瞬間、小さなその手はティズの手の中からするりと離れていった。

「…ル…ッ、ティ…う…」

愛しい弟のティル

(…僕は…守ることが出来なかった)

その悲しげな瞳が、目に焼き付いて

(あの手を救いあげることが…)

「ティ…る…、てぃ…ル…」

手を伸ばして届く筈もなくて、

「あ…ああ…」

絶望と後悔と、重い負の感情がドッと塊になってティズにのし掛かる。
それは決して形がある訳ではなく、もちろん肉眼で見えるものではない。それでも少年の精神を闇に突き落とすだけの破壊力を充分に備えもつ。
弱みにつけこみ心を蝕む夢魔。

「はっ…はぁ…ぁっ…」

宿のベッドの中、ティズのどっしりと汗をかき、短い呼吸を繰り返しながら、鳩尾辺りをかきむっては、苦し気に寝返りをうち、ただひたすら寝言とは一言では到底済まされないような、悲鳴に近い声を上げた。

「…く…、ぃる…」

「…っ、ティズ?おいティズッ!」
「うぁ…ああああっ!」

隣のベッドから跳ねるように起きて駆け込んだリングアベルは、震えながら首を横に振るうティズを抱え込み、呼び掛けた。

「…ぼくは…っ、ぼく…は…っ」
「ティズ、しっかりしろ!」
「あ…ああ…」

汗で額や頬に絡みつく髪を掻き分けてやり、リングアベルはティズの身体を揺すってさらに呼び掛けた。

「うあ…あ…」

…しかしまるで届かなかった。
リングアベルはやむを得ず少々乱暴だが、その頬を叩いてティズを起こそうと試みる、

「…、めん…っごめ…なさ…」

しかしゆっくりと重く開いたティズの瞳は朦朧としていて、目の前の近い距離で自分の顔を覗き込んでいるリングアベルすら、全く見えていないようだった。
短い呼吸を繰り返しながら、うわごとのように、謝罪の言葉を繰り返す。

「てぃ…ル…僕が…ぼくは…、ごめん、ご…め…」

何度も何度も繰り返した。

「……っもういい、ティズ!」
「ん…っく…」

掠れむせ返し、さらに呼吸は短くなっていった。

「っ…」

ティズはひくひくと痙攣するように肩を振るわせ、不規則になった呼吸はやがて息を取り込み、吐き出すことすら、まともにも叶わず…

「はっ…は…っは…」

リングアベルはティズの後頭部に手を回し、次の瞬間、躊躇なくその唇を塞ぐように自分の唇を重ねた。

「んっ…」

無意識に逃れたいと思ったのか、ティズはリングアベルを退けようと腕で胸を押し返す。
おそらくは生理的な反応なのだろう、しかしリングアベルは動じなかった。
手のひらで背中を擦りながら、息を吹き込むように…
呼吸をするように
ゆっくりと、リズムを取るように、

「んっ…んんっ…ん…」

しばし間をおいて解放すると、ティズはリングアベルの腕の中でぐったりと倒れ込み、そのまま気を失った。
異常なまでに短かくなってしまったその呼吸は、徐々に正常のリズムを取り戻していった。
目尻に赤く腫れるような涙の跡があって、それは指でなぞることすら痛々しくて、

「ティズ…?」

一応は呼び掛けるが全く反応はなかった。
リングアベルは無言、ティズをゆっくりベッドに横たえさせる。
予測していたのか用意していたタオルを取り、ティズの汗ばんだ顔と身体を拭った。
衣類を整えてやってから、再び布団をかけると、リングアベルは自分のベッドに、どしりと座り込んだ。
間もなく深々とため息をつく。

(……今日で何日目だ?…)

リングアベルは手帳を取り出し、開こうとして、やめた。

「…そう都合のいい答えなんぞ載っているわけがない、か…」

手帳を放りだし、リングアベルは改めてたティズを眺め…。

(このままではティズが持たない…)

呟いて再びため息をついた。
なんとか、
なんとかしてやらないと…、







end

*****

ティズの不眠症の件がああして会話で出てくるあたり、時期的に三章序盤あたりがティズさんのなかでピークなのかなとか思ってたりです。
むりに寝ようとして魘されちゃったりとかしてそうな感じ…妄想ですけど。
ティズさん後に自己解決するわけですが、そこにリングアベルの助力があったっていいじゃない。っていうかんじで…(いまここ)

Q)何故ちゅーするですか。
A)人工呼吸的なちゅーをいつかやりたかったのデス。

当時のリングアベルは女性まっしぐらで、ティズは同性だけど、一見どうでも良さげに振る舞いつつも、共に旅をする大事な仲間なんだからもちろん特別なのですよ。

キリリ!



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