別のジャンルの二次文章 | ナノ

seek unconsciously[鉄のラインバレル/森次玲二と早瀬浩一]



天児さん覚醒(ラインバレル封印)直後

暗い
重たい

20140611追記

ドンパチからの長崎からのJUDA本社に日帰りとかあり得ないな…と思い
今回、彼らが一夜を共にしたのは長崎のとあるビジネスホテルという妄想です。
妄想です。すみません。
JUDAに縁があるかもしれないし、ないかもしれない的な




******


その直後のことはもうよく覚えていない。
ただ、ひたすら目の前で一方的かつ威圧的な暴力によって破壊されていったアルマが頭から離れなかった。
回線を通して聴こえる絶叫が、悲鳴が
震えが止まらなかった。
命を繋ぐ糧である相棒は、その手から離れた瞬間に漆黒に染まった。

ひたすら繰り返される声
呪詛の様に繰り返される命令

マキナヲコロセ
マキナヲコロセ

降りた後も、未だ頭から離れない
煩くてかなわない
仲間もたくさん傷付けた

守りたかったものも、たくさん

こんな戦い方なんて知らないし
こんなもの誰も求めていない
こんな強さはちがう


こんな、こんな…

なりたいものはこんなもんじゃなくて…


『…俺は…俺はもう、ラインバレルには乗らない!』


ああ、
どうして、



どうして………?









「早瀬?」

浩一は呼ばれ、そこで初めて我に返った。

「…何か用か?」

顔を上げるといつもの変わらない顔があって

「森次さ…ん?え?…あ…いや…あれ…?」

茫然とする。

扉の前、カードキーを手に森次玲次は浩一に問いかけた。

「どうした?」
「いや…あの…」

(ほんと…どうした?俺…)

森次と目があった瞬間、慌てたようにして浩一から視線を逸らした。

ラインバレルで全く知らない場所にオーバーライドした時のような、それに近い感覚を覚えた。

此処は何処だ?
混乱する

なんでおれはこんなところにいるんだ?


「此処…あれ…JUDA…?」

いや、違う
声に出した瞬間に思い出した。
徐々に冷静になってきて、思い出す。
長崎某所、とあるビジネスホテルだ。
見知ったJUDA社のビル内に何処と無く酷似した構造の施設だった。浩一は一瞬だけ、本社に帰って来たという錯覚を覚えた。
そして…

「俺…」

(いつのまにこんなところまで…?)

「用でもあるのか?」
「え?」
「?」

お互いどうにも会話が噛み合わない。

「用?い…いえ、何も?」
「…?」

(なんでこの人と一緒なんだ?)

当人が聞いたら怒るかもしれないと思いながら、浩一はちらりと顔を上げた。

「…」

どうにも腑に落ちない、といった様子で森次は早瀬を見据える。

(というか…なんだ、この状況…)

「早瀬」
「…っはい?」

浩一は肩を浮かせて跳ねるような声で返事をした。

「用があるから、付いて来たのでは?」

?!

「付い…?」

(俺…が?この人に?)

「ここ、何処なんですか?」

自分でもなにを言っているんだ?
と思いながら、問いかける。

「ここは私の部屋だ」

お前の部屋は別の階だろう?と付け足して、扉に書かれた番号をコツコツと叩く。
再び顔を上げた浩一は、その番号を見た瞬間ハッとした。
自分が借りた部屋とは全く違う番号だ。

「あっ…あれ…?」

(…?)

浩一の言葉一つ一つに奇妙な違和感を覚えた森次は、少し考えた後に一つの可能性にたどり着いた。

「早瀬…お前…「や、やだなぁ俺!まさかこの歳で迷子になるなんて…あはは…全然…考えもしなかったよ!」

口を開いた瞬間、浩一は声を上げた。
はははと乾いた笑い声で、勢いをもって誤魔化してみる。
しかしその水面下ではとてつもない自己嫌悪で、顔を真っ赤にした理性が脳内でのたうち回っていた。

(何時からだ…?!俺は何時から、この人の背中を追って来たんだ?)

思い出せ、思い出せ…と、脳に呼び掛ける。
しかし思い出すのは、

先の闘いと、目の前で崩れ行くアルマと、

「…っ!」

懐辺りが苦しくなって、息が詰まって噎せる。
目頭が熱くなっていく。

だめだ…、

浩一は慌てて視線を逸らした。

「早…「…森次さん」
「なんだ?」
「俺、勝手に貴方に付いて来て…た?」

よく聞けば実におかしな質問である。
自分で思いながら、浩一はそれでも問わずにはいられなかった。

「その様に見えたが?」
「…」
「此所まで来る途中、何度か声をかけたんだがな、」
「え…?」
「やはりその様子では、気が付かなかったようだな」
「…」

よもや、どう返せば良いのか分からなかった。
自分は無意識の内に上司の背中を付け回り、こんな所まで来てしまった?
こんな夜遅くに、その背中を追ってまでして済ませなければ用など全く無いのに?

「なんか俺、間違えた…みたい?」
「それは間違いと言えるのか?」
「う…んーと…」
「お前は、お前が言った『間違い』とやらで無意識に他人の背中を付けたりするのか?」
「う…」

相変わらず厳しい言い回しだと思った。
森次自身にそのようなつもりは無いのだろうが、浩一はやや返答に戸惑った。

「解らない…です」
「そうか」
「…」

気まずい。
もう建て前とかプライドとか、そんなものすっ飛ばして逃げ出してしまいたかった。
自分でも、何故このような事になっているのか解らないのに、相手に納得の行く説明など出来る訳がないのだ。

「すみ…ません」

言い訳なんて、よもやこれ以上口を開いたところでどうにもなりそうにない。
浩一はただ謝り、頭を下げるくらいしか出来なかった。
その困惑と焦燥が顔に滲み出ている

(おれ、どうしちゃったんだろうな…?)

「…」

無言、森次は間もなく扉を振り返りカードをスキャンした後に扉を開いた。

「早瀬」
「…は…はい?」

呼び掛け、気持ち小さくなってしまった肩をポンと叩き、

「入れ」

促した。

「え…いやでも、俺…」
「茶ぐらいは出すぞ、少し休んで行け」
「…」

浩一は戸惑うだけで動けなかった。

これは、もしかして、
いやもしかしなくても…?
あんな事があったばかりだし?

(俺、これ甘…やかされている?)

甘やかす、とは若干語弊があるかもしれない

(いやしかし、いやしかしだな…)

この人に限って…?

「…」

なぜか、なぜだろう、
ふとした瞬間に、促す森次の手が
いつかの『あの姿』が重なって、

「…俺、また…」

あと一歩踏み込めば、きっと?

「やっぱり、俺…」


『ほら、浩一』

目があった瞬間、森次に重なった“それ”が優しい瞳で微笑みかけた。

(矢…島…?)

浩一は後ろに下がった。


「……だ、俺…」

「早…?」

(それは…嫌だ)

頭を振るう。

「や、いや俺、自分の部屋に戻…」

それはあからさまな拒絶反応だった。
しかし浩一が震える声で拒み、逃げるように身を引いた瞬間、腕を掴まれた。

「っ?!」

掴まれた…かと思うと、その桁違いの腕力で浩一は引っ張られた。




#######

長くなりそうなので下のほうぶったぎりました。
冒頭のセリフちょっとちがうけど仕様です。異図はありませんけど。
天児さん覚醒後の早瀬浩一少年に必要だったものは残念ながら森次さんじゃなかったんだけど、その途中でなにかあったっていいじゃないかという妄想。
森次さん自身がこのあたりの早瀬浩一少年をどう捉えていたかは不明ですがきっと信じてくれていたと思っております。

早瀬は他人に寄りかかることをとことん嫌がるのでここいらで少し寄りすがるくらいしたらいいのですよ。まだまだ15歳の青少年なんだし。
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