別のジャンルの二次文章 | ナノ

青少年の憂鬱[キングゲイナー/ゲイン←ゲイナー]





無駄のない引き締まった肉質の、長い指
銃を扱うせいか少し皮が硬くて乾いた肌質の…自分のものより、一回りくらい大きいくて厚い手。


何をするわけでもない
されるわけでもないのに


ただ、それが…触れるだけで、僕の心臓辺りが跳ねる


ほんの少し
近付いた
だけでも

これはまるで…


「……嫌だ、それは」


違う
これは違う
こんなことは有り得ない

そんな事はあってはならない

認めたくない?
違う
本当に?
僕にだってプライドがある
それなりに
それ相応に

だからそんなことは許さない
許さ、れない

だって僕は
僕に、は…


「なんだ?」

顔色が良くないな?
一言添えて、伸ばしてきた手
指の、爪先が髪に触れた瞬間、露骨に身が引けてしまった。

いわゆる条件反射


「なんでもないです」

大嘘付き

「なんで逃げる?」
「なんでも…ないんで」

意味が解らない

当然だ
言ってる自分だって解ってないんだ
だから…他人に判るわけがない

「“気に入らない”って顔に書いてあるぞ」
「…そんなこと」

なんでそうなるんだ…?

「面白くない」
「え?」

「このやろう、歳がちょっと離れてるってだけで、偉そうにしやがって?とか…」
「そこまで卑屈じゃ有りませんよ僕は!」

わざとらしく、吹っ掛けるような態度。
年齢とか、経験とかの差を見せつけるような大人の顔をして、自分がまだまだ子供だと、云わないばかりに、わざと遠回しに煽って、………気に入らない。

そうだ…確かに僕はまだまだ、子供かも知れない。
だから空気の読み方とか、気の利いた言葉だって選らんで振る舞う器量も少ない。
挑発が挑発と解らずに、反発だってする。
 開き直る訳じゃないけど、このゲイン・ビジョウという大人は、僕が一々反発するその様を心底楽しんでいる。

汚い。
純粋に気に入らない。


「じゃあ笑え、いつまでもそんな顔してんな」
「笑えますか。この状況で」
「笑え、ねぇよなぁ…やっぱり」

はははと笑う

「…ほっといてください」
「…そう云われてもなぁー…」



不意に腕を取られる
跳ねる
弾ける

「い…」

砕け…そうだ、

「なんでそんな顔をする?」
「放してっ…ください」
「こっち見ろ、なんで俺を見ようとしない?」

「…るさいから…」


「は?」

早く放して欲しい
早く

はやく…

「そんな…触れられると…」

「?」

「僕の心臓が…また…」

「おい、ゲイナー!?」

耐えられない
死ぬ気で力を振り絞って腕を払って、

「っ…」


僕は逃げた。

「ドカドカうるさく鳴るから…!」

また…逃げるしか出来なかった。

砕けたついでに粉々に散って、いっそのこと、消えてしまえば 楽になるだろうに。

「砕く勇気も…ない、くせにっ…」

何をやっているんだ…僕は…

「…」

天を仰いでぼんやり考える。
一面分厚い灰色の雲に覆われた空を眺め、しょうもない自分の不器用さに失望した。







*****
ゲイン×ゲイナーというよかゲイナー→ゲイン?でした。


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