ししのこころとたんきゅうのかぜ | ナノ


人の気も知らないで(現パロ2)


微妙に続いてたり



*******

嫌な予感をなんとなく肌で感じながら、足早に帰ってきたスコール。
扉を開くと、部屋の真ん中に備えてあるテーブルのその上に、タライがでんと置かれてあった。タライにはギリギリまで氷水が張られ、更にやたらでかいスイカが、お帰りなさい、待っていましたなどと言わないばかりの存在感で涼しげに佇んでいた。
時間が過ぎていた為か、タライから吹き出た結露でテーブルが水浸しになっていた。

「???」

なんでこんなものが?と思いながら、その答えはすぐに思考に追い付いた。
そう、こんな物をこの部屋に持ち込むのは一人しかいないのだ。

「バッツ、」

靴を脱いで部屋に入ると、テーブルのすぐ横、二段あるベッドの下段でタンクトップにトランクス(スコールの)姿でそれは横たわっていた。
すうと、気持ち良さげに寝息を立てる。

(全く…、こいつは…)

バッツの事だ、部屋に入るなりに服を剥ぎ取る様に脱ぎ捨てて、そのまま寝転んだのだろう。見慣れないTシャツとジーンズが、脱いだ形のそのままの姿で床にぐしゃぐしゃにたごまっていた。

(好き放題散らかして、)

服の横にはスコールが手にしていたそれと同じ袋が無造作に転がっていた。
袋の中身は、2つの…

(のりべ…)

これでのり弁当3つになった。
自分が下げていた袋を眺めてから、はーと深いため息を一つ溢す。
それを床におろして、スコールはベッドに歩み寄った。


「おい、バッツ」

床に膝をついて、声をかけた。

「…」

残念ながら返事はなかった。

(起きろ、おい)

肩を揺すり、スコールは何度か繰り返し呼び掛けたが、バッツに反応はなかった。

「…?」

その直後だった。
タイミングよく、ヒュウと風が入ってきて、同時にチリンと涼しげな音が部屋に響いた。
聞き慣れない音だった。
振り返ると、開けっ放し(not網戸)の窓の縁に、風鈴が飾られてあるではないか。

(勝手に…)

おそらくバッツが、飾りつけたのだろう。
スコールは肩をすくめ、二度目のため息をついた。

(あんなものがあったら、余計集中出来なくなるじゃないか)


再びバッツに視線を戻す。

(…ただでさえ、出来なくなっている…のに?)

「…ん…」

眠るバッツが小さく唸り、寝返りをうった。

「…」
「バッツ」

再び呼び掛けるが、やはり反応はなく、

(本当にこいつは…)

スコールはバッツが眠る枕元に手をついて、身を屈めた。


「人の気も…知らないで…」


ぽつり呟くと、その唇に自分のを重ねた。




*****
Q:なんでのり弁?
A:いやぁあの、今食いたいなって…。

スコールは試験で赤点とって、その補習帰りでした(※いやわからないだろ)
ヴァンとかティーダあたりも補習してるかもね


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