ししのこころとたんきゅうのかぜ | ナノ


ん?(9…→5)


がっかりクオリティでバッツとジタンで女子会ならぬ“男子会”のようなもの。
9→5となってるけど特別絡みがある訳じゃ無いのです。でも一応9→5です。


スコールが絡むとややこしくなりそうなんで今回はおやすみ。


※FF5のシナリオが若干絡んできます。実はさりげなくFF9のネタバレもあります…。未プレイで今後プレイ予定有る方は微妙にネタバレあるので、理解の上任意で閲覧下さい。








*******


闘いの記憶があった。
それは闇に覆われて暴走し、負の意思を持った大樹との…世界の命運を分けるようなそんな戦いだった。
舞台は戦いしか存在しないこの世界とは違う世界。
全てが“虚無”に呑まれそうになっていた世界。
平和を願い、立ち上がった心優しき一国の王女。
命を掛け、未来を守った背中と、幼いながらにその意思を継いだ孫娘。
ひょんなきっかけで、運命を共にする事となった、男勝りの海賊の女頭領。
それらは皆、どんな苦境も共に乗り越えた大切な仲間達だった。相棒と、それから…

「最近…元の世界の記憶が、はっきり解るようになってきたんだ」

まっさらな青空に手の平をかざして、バッツは呟いた。

「例えばこの次元城が、元々俺が居た世界にあったものだったとか…」

今、自分達が背中を預けているその外壁を一見して、感心するようにジタンは頷いた。

「へぇ…コレがねぇ」

コツコツと叩いて。

「“カメェー!”って叫ぶエクスデス…とか」

唐突にバッツが声真似で叫ぶ。ジタンは肩を浮かせて驚いた。

「か…かめぇ…?」
「そっ!“カメェー!”」
驚いたジタンを観て満足そうにバッツは微笑み頷いた。

(唐突だなぁ)

ジタンは思いながら一息ついた。

「喋るカメのじいさんが居てさぁ…」と、嬉々とその時の事を語る。

「いや亀の大賢者様とか…正直興味ないしなぁ…」

興味無さげにジタンは相づちを交わす。
どうせならもっと潤った話が良いんだけどー、と返せば、

「八本腕の、源氏の鎧フル装備の男もいたんだけど…ああっと、ギルガメッシュっていうんだけどさ」

今度は八本腕の男か、ジタンはがっくり肩を落とした。

「ジタンは覚えてないか?」
「…?」

話をふられ、ジタンは頭を傾げた。

「ギルガメッシュ…?」

その名前は聴いた事がある。
有るが…

「そうそう」
「八本腕…?四本腕のヤツならどこかで会ったような気がするなぁ…?」

はて?

(………何処で会ったかな…?)


ジタンは自分の記憶を辿ろうとして、直ぐに止めた。

「その八本腕のヤツも仲間なのか?」

(覚えていないのか…)

「いやあいつは…、なんだろうな、最初は“敵”だったんだけど…最「そんな事よか、バッツ!」

自分から訊ねておきながら、やはり男の話は興味が持てなかったのだろうか、ジタンはさらりと別の話を切り出した。
“そんな事”呼ばわりで流された八本腕の男の話は、そこでぷっつりと途絶えてしまったが、バッツは差ほど気にしてはいなかった。

「ん?」
「まさに“両手に華”じゃないか!」
「…んん?」
「お姫様、孫娘、さらには女海賊頭、って…女の子だらけじゃないか!」
「…」

ジタンを振り返って目が合った瞬間、バッツは「あ」と口を開いた。

「…ホントだ」
「ホントだ、って…、おま…」
「いやでも俺…「うやらましいぞコノヤロウ!」

くぅ〜っと声を上げると、震える拳を固め、バッツを肘で小突いた。

「そんでっ?そんでっ?本命はどの女の子なんだっ?」

“女の子”というキーワードで、スイッチが入ったジタンは、身を乗り上げてやたら勢い良くその話に食いついてきた。
バッツは戸惑いながら、問い返す。

「ほんめー?」
「そうっ!本命!どの子がお前の彼女なんだ?」

彼女と聞いてバッツは慌てて手左右にを振った。

「え?あぁいやいや、そういうんじゃないって」

バッツは懸命に否定する。

「うんー?」
「レナもクルルもファリスも…みんな大切な仲間だ。それ以上の関係じゃない」
「へー?」

さりげなくバッツが三人の名前を公言して、ジタンは益々怪しいなと怪訝そうにバッツを見上げた。

どの子がクルルちゃんで
ファリスちゃんで
レナちゃんなんだ?

脳内で早くも三人を“ちゃん”付けで呼び、ジタンは、可愛らしい女の子三人が(あくまでも想像の中で)バッツを囲んでいる光景(あくまでも想像の中で)を空想する。
これはいわゆるハーレム?
なんてことだ、ほんとうにうやらましい。

(なんて眩しすぎる光景なんだろう…)

…改めて思った直後だった。
“それ”は、ふと、ジタンの懐あたりで細やかながら訴えてきた。

「……?」

上手く説明は出来そうにない“なんかよくわからない感覚”

この感覚は前にもどこかで…?

(…なんだ?)

ジタンは一瞬迷ったが、その時はそれほど意識はしなかった。
直ぐに切り替えて話を続ける。

「まだ、思い出してないってだけじゃないのか?」
「いやいや、ほんとだって!俺はそんな相手…まだ…っ!あいやその…彼女とか…今まで全く縁が無い訳じゃないんだけど!」

バッツは慌てた様子で頭を振って強く否定した。
とにかく三人の中にはそんな相手は居ないと、何度も繰り返す。

「ほほー?」

眉を潜め、全く晴れる気配のない疑惑の目がバッツに迫る。

「だからぁっ!嘘じゃないって…!ああコレなんの罰ゲームなんだよぉ!」

じわじわ半泣き+お手上げ状態でわんわんと喚きはじめたバッツを眺め、已む無くヤレヤレと肩を竦めた。

「まぁ…“まだまだ記憶が曖昧”ってんで今回は許してやるかぁ」
「ジタン…全然信じてないのな」
「でも、ちょっとは気になる子、いるんだろ?」
「…ああアイツの時々見せる妙にしおらしい処が…っておおい!ジターン!」

耳まで真っ赤にしてバッツが声を上げる。

「ぷっ…あははははっ!」
「…っ!」

さりげなくとボロを吐き出してしまったバッツに、そのツボを突かれたのか、ジタンは直ぐに吹き出して笑った。

「三人は大事な仲間なんです!」

半ば自棄になって、バッツは声を張った。

「はいはい」

ジタンは目尻に涙を浮かべながらお腹を擦り、立ち上がった。

「それじゃ、バッツさんの本命も聴けた事だし、そろそろ次のエリアに行くとするかぁー?」
「ジタン〜」

ポンポンとバッツの背中を叩いて、ジタンは歩き出した。
よもやここまで来ると、言い訳も返す言葉も無くなってしまう。
バッツは、面白くなさそうな顔でその背中を追いかけた。

(ちぇ…全然信じてないなぁ…もう…)

「皆には黙っててやるからなー?」
「むー」

ジタンが顔だけ振り返って、そう告げれば、バッツは唇を尖らせて唸った。
そのバッツの顔が、なんか可愛いと思えて、ジタンは再び笑った。









「……?」

そして、その瞬間、ジタンは足を止めた。

“可愛い”?

再びさっきの感覚が戻ってきて、ふてくされモードで後をついてくるバッツを振り返る。
「…?」

かわいい?
バッツが?

(…………アレ?)

「こんどは、なんだよぉ…」

機嫌が収まらないでいるバッツを眺め、

「いや…」

なんでもない…と、背を向け再び歩き出した。





****

ジタンさんにバッツスイッチがはいりました。
見知らぬ三人のヒロインに囲まれるバッツを想像してうやらましいと思った瞬間、微妙にモヤッとして、…アレ?っていう。
バッツにモヤモヤしたんじゃなくて三人の方にモヤモヤしたっていう…。
↑本編は多分比喩が曖昧過ぎて多分伝わらない。



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