幸福論
なんていうか…消化不良品ですゴメンナサイ。
ブルーはいい加減“俺”で固定しようかと思います…。
個人的に“私男”好きなんですけどね
論ていうか…うん。
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ふらりと歩み寄った街角で、微かな鐘の音を確かに聴いた。
カラン…カラン…と。
「何の鐘かな…?」
少し走って、それからふいとルージュは振り返った。
「…ルージュ?」
「…、」
ハッと足を止め、呆然としているブルーを振り返ると、間もなくパタパタと戻ってきた。そして何を思ったのか、ブルーの腕を掴み、そのまま再び歩き出したのである。
「…どうした?」
「…」
再び呼びかけるが、ルージュは返事どころか全く反応をしなかった。
「おいっ…、気のせいじゃないのか?」
何度問いかけても、ルージュは動じなかった。
露骨に面倒くさがるブルーの腕をがっちり掴んで放さなかった。
「…っと…」
少し歩いたところで、入り込んだ住宅街に出てしまった。
それでもなんとなくの勘を頼りに、ルージュは足を進めて行った
迷路のような、絶えず続く十字路。
「たしか…此方から…」
カラン…
タイミングよく再び響いたソレに、導かれるかのようにして走り出す。
「…っ、ルージュ!」
急に駆け出したルージュに、グイと引っ張られ、ブルーはよろめき、転びそうになりながらにされるがままに走る。
ただひたすら、引っ張られて付き合わされている方は堪ったものではない。
じわじわと不快感を覚えるブルーは、遂にしびれを切らし、足を無理矢理に止めて腕を掴むルージュの手を振り返った。
「…っいい加減に…っ「ブルー!」
声を張り上げた瞬間、ルージュも叫んだ。
最後にやって来た十字路の右側に曲がった先に、小さな教会が有ったのだ。
そしてまた、カランカランと響く。
ルージュは一人で行ってしまった。
ブルーは渋々ながら、結局後を追った。
「…結婚式…?」
聖堂を取り囲んでいる柵の前で立ち止まる。
扉が開かれ、新郎新婦が揃って登場した。
入口を取り囲んでいた人々が盛大な拍手と歓声を上げる。
「わぁ…」
無意識、遠くから偶然の傍観者となったルージュも、思わず声を洩らした。
「……」
ブルーが横から覗くと、ルージュの瞳の中はまるで夢みる少女のようにうっとりと耀いていた。
「ルージュ?」
再び聖堂の方を見やり、ブルーは不思議げにルージュを振り返る。
何度か呼びかけたが、やはり届いていないようだった。
(ああいうものが好きなのか…?コイツは…)
「なんか良いよね、こういうの…」
「結婚式が…好きなのか?」
「…うーんと…好きというか…、こういうのはなんだか嬉しい気分になるんだ」
「他人の幸せが、か?」
「おかしい…かな」
「いや、お前らしいとは思うが」
「そう?…ブルーにそう言われるとなんか嬉しい」
ルージュは少し頬をそめて照たように微笑んだ。
「ブルーはこういうの興味ない?」
「無い…な」
「そっ…か」
「それに賑わった場所は好きじゃない」
「そうだったね」
「第一、アレは未来を誓い合った男女がするものだろう」
「まぁ…そうだね」
「俺にはそんな誓いも、人並みの幸福も必要ない」
(まして、そんな相手など…)
ふと、ブルーはルージュを振り返った。
(俺には…)
「?」
「…そろそろ行くぞ」
間もなく視線を逸らすと、ブルーはくるりと背中を向けてしまった。
来た道を再び歩き出す。
「あ…、待って」
きびきびと何処と無く急ぎ足のブルーを、ルージュは慌てて追いかけた。
(…機嫌、損ねちゃったかな?)
なんとか小走りで追いついてから、となりに並ぶと、チラリとブルーの顔色を伺った。
「…どうした?」
「ううん?」
首を振り「なんでもない」と返す。
(なくないんだけど…)
「…ルージュ」
「ん?」
立ち止まって首をふった。
「したいと思うのか…?お前は」
「…?」
「さっきの結婚式とかいうやつ」
「あー…いや」
「好きなんだろう?」
「雰囲気は好きだよ。でも…、」
「?」
「僕は、君とずっと一緒に居られたら、それだけでで充分幸せだから」
頬を赤らめて、照れた様子でルージュは微笑んだ。
「それに…」
「…?」
「誓約なんて交わさなくても、僕は解っているから」
「……そうか」
「うん!」
驚いたような…ブルーはハッとして、ふいと視線を反らすと、先を急いだ。
その踵を返す一瞬、微かにブルーが笑ったような気がして、ルージュは嬉しくて、跳ねるような返事と共に後ろからその背中に抱きついた。
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あくまでも笑った気がした、です。(キリリ!)
やっつけ感否めないので、後で引っ込めるか修正するかもです。
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